「スマホ片手におちょくり…」衛兵をからかった観光客を厳しく注意した警官に称賛の声
ロンドン中心部にある官庁街ホワイトホールで、勤務中の近衛兵に近づき度を越した挑発をしていた観光客のグループが、警官から注意を受け、すごすごと立ち去る映像がソーシャルメディアで拡散した。衛兵に対する観光客の行き過ぎたふるまいはこれまでも問題になっており、警官の至極真っ当な対応にスカッとした人も多いようだ。 【動画を見る】適当な名前で呼び掛けて、兵士をからかう観光客たち。
兵士は真剣! 警官がおふざけに苦言
英ニュース・サイト、ラッドバイブルによれば、近衛兵をからかっていたのは、アメリカ人と見られる6人の若い女性観光客だった。ホースガーズと呼ばれる建物で任務についていた兵士に、スマホを片手に声をかけたりゲラゲラ笑ったりして、羽目を外していたという。 見るに堪えない状況に、警護中の武装警官が介入。この観光客のグループに向かって、「兵士たちは国に仕えており、真剣に任務にあたっている。彼らにはこの施設を守る責任があり、嘲笑の対象ではない」と語りかけた。 さらに警官は、「あなたたちが楽しんでいるのは分かるが、彼(兵士)のほうは楽しんではおらず、何時間も勤務しなければならない長い1日を過ごしている。疲れてへとへとになるのに、あなたたちは彼をおちょくっている。我々はそういったことを認めるわけにはいかない。だからこの施設から退場していただきたい」と冷静に諭した。
映像が拡散…警官への共感が集まる
警官から注意を受けた観光客たちは、恥ずかしそうにスマホをしまうと、すぐに施設から立ち去った。彼女らの一連の行動はその場に居合わせた人によって撮影されており、ソーシャルメディアに投稿された。 投稿は広く拡散され、ジェームス・クレバリー内務大臣も、映像を再投稿して「よく言ってくれた!」とコメントをしている。ソーシャルメディアには、警官を称賛するコメントが集まった。
限界に達する衛兵も
実は、観光客の衛兵に対する行き過ぎた行為は、以前から問題視されている。ソーシャルメディア上には、暴言やからかいだけでなく、兵士にからんで写真を撮ろうとする、勝手に馬に触るなど、観光客のありとあらゆるお粗末な姿が出回っている。 ロンドンの旅行ガイド、ロンドントピアによれば、兵士たちは勤務中、観光客に物を投げられたとしても動いたり反応したりしてはいけない。また、笑った者、または笑っているのを上司に目撃された者は、金銭的な処罰を受けるという規則もあるそうだ。 口を開かず無反応で耐える兵士たちだが、時には声をあげて威嚇する様子も映像のなかには見られる。そもそもイギリスでは、衛兵には触れてはならないというルールがあり、もし人々が攻撃的な態度を取り始めれば、兵士は銃剣を突き付けることもできるそうだ。浮かれた観光客といえども、他人の仕事の邪魔をする、度を越したおふざけは許されないことを覚えておきたい。
文:山川真智子