【若乃花の目】大の里攻略の平戸海、あこがれ千代の富士さん理想 立ち合い角度、当たり方を工夫
<大相撲夏場所>◇9日目◇20日◇東京・両国国技館 エリートの勢いを、たたき上げが止めました。平戸海が取った相撲は、大の里攻略法を示すものでした。 当たって右を差す一辺倒の相撲を、どう封じるか。平戸海が考えて狙ったのが、持ち前の立ち合いで当たってからの左上手でした。さらに、おっつけるように出て大の里の右を封じるとともに相手の重い腰を上げたのも効いた。いくら大の里でも、これでは威力が半減し焦ったでしょう。その後の攻めは、休まず一気に…と思われがちですが、ここも平戸海は、ただガムシャラに出るのではなく、冷静に考えて攻めました。 前日、大の里は大栄翔に土俵際で闘牛士のような身のこなしで逆転勝ちしました。逆に平戸海は7日目の大栄翔戦で、引いて墓穴を掘りました。対戦相手のそれまでの相撲、そして自分の失敗も頭に入れて、距離を空けないように腰をぶつけながら出て、さらに右ののど輪で大の里の上体を起こしています。このバランスの良い左右からの攻めで、うまく攻略しました。左上手は、あこがれの千代の富士さんを理想にしているようですが立ち合いも角度、当たり方と工夫しています。いろいろとアレンジしながら平戸海なりの型を磨けば良いと思います。(日刊スポーツ評論家)