デジタル対応の障害者就労支援を シンガポールのNPOと住友生命子会社が意見交換
日本での障害者のキャリア支援事業を推進しようと、住友生命保険が参画するシンガポールのNPO法人と、同社の特例子会社の関係者が5日、大阪市内で意見交換を行った。住友生命は今後、NPO法人で培ったノウハウを生かして、デジタル化社会に適応した障害者の就労支援事業を日本でも展開し、産官学の枠を超えた就労支援に取り組むとしている。 NPO法人はシンガポールで障害者の就労の課題解決に取り組む「Tomo Work」で、住友生命社員の百田牧人氏(49)が出向し、2019年から活動している。百田氏は現在、同法人のトップを務めている。同法人は社会のデジタル化が進んでいる同国で産官学の連携を図りながら、マーケティングやデータ分析といった教育を含めて障害者の就労支援を行ってきた。 同法人によると、障害者の就労については、これまではある程度定型的な業務で、特別な能力は必要とせず、通勤が不可欠な現場作業が一般的だった。だが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、障害者自身がデジタル技術を身に付けることや、リモートワークへの対応が必須となり、付加価値の高い就労の実現が社会の共創で実現することが求められるという。 この日の意見交換では、住友生命の特例子会社で、障害者の雇用の場を設けているスミセイハーモニー(同市)の関係者が、障害者が生命保険に関する書類のデータ作成などを行っていることなどを紹介。これからは電子媒体に関する仕事を見つける必要がある、といった意見が聞かれた。 住友生命の障害者のキャリア支援事業にも関わる百田氏は「日本は福祉環境は整っているが、イノベーション(技術革新)は起きにくい環境だ。現在、就労している障害者もデジタル化に対応したスキルチェンジが重要となる」と語った。(井上浩平)