思い出の写真「絵額」に 山形市出身の石黒さん、加工額装サービス
山形市出身で、絵や額を制作する石黒守さん(68)=茨城県守谷市=が、古い写真を加工し額装するオーダーメードサービスを始めた。白黒からカラーにしたり、顧客の記憶や理想の景色を写真に盛り込んだりと思い出を色濃く表現し、提供する。 石黒さんは大学進学とともに上京。製紙会社に勤め、退職後、本格的に水彩画を描き始めた。2020年からは作品を納める額もアートの一部であると考え、布や革のほか、自分で作った陶器や焼きスギなどを用いて額を自作するようになった。絵と額が一体化した作品を「絵額(えがく)」と名付け、個展や交流サイト(SNS)で魅力を伝えている。 新たなサービスには絵額の技法とデジタル技術を活用する。「軽井沢の別荘を手放すため、思い出に残したい」と言う友人の写真は、不鮮明さをクリアにするとともに、曇り空を夏の青空に変え、写っていない愛犬を描き足し、陶器の額に納めた。ほかに「チューリップの花壇があった」との声に応えて写真を加工したり、「おばあちゃんの着物を使ってほしい」と頼まれて額を作ったりと制作は幅広い。
石黒さんは両親を既に亡くし、昨年3月に山形市内の家を売却した。「山形と縁遠くなりそうだが、絵額を通じて古里とつながり続けたい」とし、「写真の持ち主の心に寄り添って景色を共有し、『懐かしい』と言ってもらえる作品に仕上げたい」と語った。 制作費は1万円から。問い合わせは石黒さんのメールアドレスegakuten@ab.auone―net.jp