プライドを取り戻す戦いの先に勝利を。ヒート×ブラックラムズ、浮上へ踏み出す80分
テビタ・リーが今季初めて13番をつけて先発し、アウトサイドCTBの位置で持ち前のスピードを見せてくれそうだ。 Optaのデータによると、LOフランコ・モスタートのラインアウト獲得数(26)はリーグ8位。安定したセットプレーを軸に戦い、前節のように最初の40分で差を開かれなければ勝利に近づくことができる。
ブラックラムズは前節の東京サントリーサンゴリアス戦に0-62と大敗した。能力の高い選手たちが揃っているチームだ。ラインブレイクするシーンや敵陣深くに入る時間帯は少なくなかった。
しかし、肝心なところで反則を重ねてしまう。 その数は、相手の8に対して19。ラストパスが通らぬケースもあり、結果、一度もトライラインを越えることができなかった。
試合後「自分たちのDNA、泥臭さ、フィジカルを見せられなかった」と唇を噛んだのは武井日向主将(HO)だ。 「(相手に)やりたいことをすべてやらせてしまった」と悔やみ、序盤から受け身になったことを反省。その流れを最後まで引きずってしまった。
SO中楠一期はゲーム運びに安定感がある司令塔だ。12番の元ウエールズ代表、経験値の高いハドレー・パークスが隣にいるのも心強い。
LOアマト・ファカタヴァ、WTBネタニ・ヴァカヤリアらパワフルな選手たちを欠く布陣も、Optaのデータによるとゲインメーターリーグトップ(716メートル)のアイザック・ルーカスをベンチスタートとしたところに戦略が感じられる。 この好ランナーが後半の勝負どころに投入されるなら、相手にとって脅威となる。
第5節以来の先発となるPRパディー・ライアンや今季2試合目の出場となる磯田凌平など、ここで掴んだチャンスをものにして、飛躍したい選手たちもいる。
互いに勝利を強く欲している両チームの競い合いは、試合の入り、終盤と、意地のぶつかり合いが最後の最後まで続きそうだ。
田村一博