「光る君へ」道兼役・玉置玲央、思いがけない感情が湧いたシーン 柄本佑の熱意に感謝
「撮影の合間になにげなく中泉さんに“道兼の死後のシーンってどういう画になるんですかね?”と軽く聞いたところ、中泉さんも“ちょうど考えていたんですよね”みたいな感じで盛り上がっていって。僕が提案させていただいたのは、道兼が父上と見た山の上からの風景を挟むのはどうかっていうものでした。14回から18回にかけて道兼の人生と人間性、価値観ががらっと変わり、2回の時点での道兼とは百八十度違っている。あの風景が18回までを経て、道兼には全く違う風景に見えるだろうし、視聴者の方にどういう風に見えるだろうかという思いでした。道兼の印象のみならず「光る君へ」の世界も少し変わって見えたりしたら面白いんじゃないかと。(自分が演じるキャラクターの)死んだ後の、自分が出演していないシーンについてすり合わせをさせていただけるとは思っていなかったので、すごく印象に残っています」
ところで、玉置自身は道兼の死にざまをどう想像していたのか? との問いには「ろくな死に方はしないだろうなと思っていました」と言いつつ、“幸せな死”になることは予感していたと話す。 「SNSなどで“呪い殺される”とか“兄に連れて行かれる”みたいなことが予測されていましたけど(笑)、僕は台本を読んでいない状態でも道兼なりの幸せというか、行き着くものを見つけて死んでいくんじゃないかという気はしていたんです。改心するとも思っていませんでしたが、物語を盛り上げるために死んでいくみたいなことはきっとなくて、初回から重ねてきた所業はあれど、きちんと納得のいく、意味のある幸せな死を迎えるんじゃないかと。実際にそういう風になったと思いますし、共演者の皆様と監督と、それこそ佑くんのおかげでそこに至れたなというのは本当に感謝、感動だなって。何かの取材の時に佑くんにそのことを話したら“感動させてやったぜ”って言われて“チクショー”って思いましたけど(笑)」
倫理観が欠落した憎まれ役として反響を呼びながら、最後には弟の、家のために自身を犠牲にする道を選んだ道兼。当分、彼のロスに苦しむことになりそうだ。(編集部・石井百合子)