「対面した時、体が震える感覚が…」 菜々緒が考える“サイコパス”像と 恐怖を感じた亀梨和也の“ギャップ”
2019年第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した小説『怪物の木こり』(倉井眉介/宝島社文庫)の実写映画化で、連続殺人事件を追う警視庁のプロファイラーを演じた菜々緒さん。サイコパス、そして連続殺人鬼に立ち向かう難しい役どころについてお聞きしました。 【画像】菜々緒さんの撮り下ろし写真をすべて見る(全15枚)
すぐに読み切るほど夢中になった原作
──菜々緒さんは普段、どのような本をよくお読みになるのですか? 本は結構読むんですけど、自己啓発系の本や、何かしら自分のためになるような本を読むことが多いです。 お話をいただいて、まず原作を読みました。読み始めたら、怪しい人物が次々に登場する変化の面白さや、追う者と追われる者が入れ替わる展開の早さに引き込まれ、「次、どうなるんだろう」と夢中になってページをめくる手が止まらず、1日で読み切ってしまいました。 ──原作をお読みになって、いかがでしたか? 原作の世界を十分に楽しませていただきましたが、これが映像になるって、そしてこの中の役を自分が演じるのって、どんな感じになるんだろうと、すごく楽しみでありつつも、不安を感じました。 ──今回、菜々緒さんは、捜査本部内で孤立しながらも独自の視点で執拗に連続殺人事件を追いかける警視庁のプロファイラー・戸城嵐子を演じています。原作と映画では少し違うキャラクターになっていますが、どのような役作りを意識されましたか? 原作の戸城嵐子は、私の中ではおとなしくて真面目な印象が強かったのですが、三池崇史監督からは、「サイコパスな要素も取り入れてほしい」とはじめに言われました。ですから、三池監督のリクエストを受けて、プロファイラー捜査員として、怪しげなというか、人としてのバランスの悪さや不安定さなどを丁寧に融合させながらお芝居できるよう意識しました。
「死臭を嗅ぐ仕草をしてほしい」
──具体的にどのようなシーンで、どんなお芝居を意識されたのでしょうか? 野外での殺人現場を訪れたときの嵐子のふるまいです。そのシーンに入るときに、三池監督から「死臭を嗅ぐ仕草をしてほしい」と言われたんですけど、イメージしただけでちょっと常軌を逸していますよね。そういう「ちょっと普通じゃない」仕草が、まるで普通に見えるように演じることで、ある種の狂気性や違和感のようなものを醸し出せるように演じました。 どの程度の臭いなのか、どんなふうに演じたらいいのかは、かなり悩みましたね……。いろいろ調べて、相当臭いがきついということまでは頭で理解し、そこから先は脳内でイメージをふくらませて、目をつぶって自分の世界に入りながら演技につなげました。 あとは上司に意見を求められたときに、ちょっとけだるそうに頭をかきながら立ち上がる、普通はやらないような、無造作で不器用な面も出すように意識しました。見方によっては、ちょっとネジが緩んでいるようにも見えるところが出せたらいいなと思いながらやらせていただきました。 たとえば、亀梨さんが演じた二宮彰と対峙したときに、ちょっとニヤリと笑いながら「サイコパスってそういうふうに捉えるんですね」と言うシーンがあります。普通の人はサイコパスと2人きりになったときに、こんなふうに言えないですよね。でも三池監督の求める嵐子は、サイコパスにも堂々と対峙できる人物だと思ったので、お互いがサイコパス同士みたいなつもりで、やらせていただきました。 今作では、追う者と追われる者がどんどん入れ替わり、誰が怪しくて誰が犯人なのか複雑に絡み合ってストーリーが進んでいきます。そのなかで私が演じた戸城嵐子は、かなり早い段階から二宮が事件のカギを握る人物だと的を絞り、執拗に執着します。 二宮をターゲットに絞った時点から二宮への執着が始まり、そこから事件に対する執着も深まっていくわけですが、執念ではなく、“執着”と呼ぶほうがふさわしいような演技は常に心がけました。 二宮は最初から明らかにサイコパスですけど、嵐子も同僚の刑事にサイコパスの特徴を話しているときに、「何だ、それはおまえのことか?」と聞かれるくらい、素質としてサイコパス要素がある人物です。そこは根底におきながら演技しました。