「どうしてそんなに時間がかかるの?」相手の顔を潰すひどい質問の“うまい言い換え”【カウンセラーが解説】
たったひとことの失言が、相手の心を踏みにじり、激しい怒りを買ってしまう。そんな失態を演じれば、大切な人間関係に取り返しのつかない亀裂が生じてしまいます。回復不能なコミュニケーションのミスを防ぐには、どんな点に配慮・注意が必要なのでしょうか。※本連載は桐生稔氏の著書『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。 【マンガ】「私はあなたをバカにします」…歯科衛生士が患者に言い放った「厳しい言葉」の真意
コミュニケーションで「相手の逆鱗触れる」とき
三流は、相手を否定し、 二流は、相手に詰め寄る質問をし、 一流は、どんな質問をする? コミュニケーションにおいて、相手の逆鱗に触れることがあります。 それは「相手の〇を潰すこと」です。〇には何が入るでしょうか? 〇には、「〇を潰された」「〇に泥を塗られた」「〇を汚された」こんな言葉が入ります。そう、顔です。 「面子」という言葉も同じ意味で使われます。「面子にかかわる」「面子が保たれた」「面子が丸潰れだ」など、人はとにかく面子にこだわります。 時代劇を見ていると、面子を潰された武士が相手を斬り殺すシーンがありますが、武士にとって面子はそれほど大切なことなのです。 人は、「恥をかかされた」「バカにされた」「下に見られた」ときに、信じられないくらい凶暴になります。現代において、手が出ることはほぼないと思いますが、相手の面子を潰すというのはそれほど恐ろしいことなのです。 この話をすると、「私は、相手の顔を潰すようなことはしません」という人が大半です。 でも、本当にそうでしょうか。 「なんでそんなことにも気づかないの?」 「その案、本当によく考えた?」 相手は一生懸命やっているのに、ちょっとしたひとことで顔を潰してしまうことがよくあります。 相手の面子は丸潰れ、プライドはズタズタに。 なぜなら「自分を否定された」と感じるからです。 ◆相手が抱える「問題」「環境」に焦点を当て、言及すれば… では、相手の顔を潰さない質問とはどんなものでしょう? 微妙な違いですが、こう変えてみてください。 「どうしてそんなに時間がかかるの?」 ↓ 「結構時間がかかっているみたいだけど、困ってることない?」 「なんでそんなことにも気づかないの?」 ↓ 「何かわかりにくい点があったんじゃないの?」 「その案、本当によく考えた?」 ↓ 「よく考える時間がなかったのでは?」 後者の質問は、相手自身について言及しているのではありません。 相手が「困っていること」「わかりにくい点」「考える時間」、つまり相手が抱えている問題や環境に矛先を向けています。そうすれば相手の面子を潰さずに済みます。 相手を真っ向から否定するのではなく、他のことに目を向けて何か考えるきっかけを与えることです。 相手の顔を潰してしまうとき、ほとんどのケースが「そんなつもりはなかった」です。気づかずに相手の人格を攻撃しています。 そんなときこそ、質問の矛先を「相手」から「相手が抱える問題や環境」など、人格以外に向けてみてください。 あなたの質問が相手との融和を生み出し、より強固な関係性を築くはずです。 【Road to Executive】 一流は、相手の顔を潰さない質問をする ★質問の矛先は相手の人格以外に向ける 桐生 稔 株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役 日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー 日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー 一般社団法人日本声診断協会音声心理士
桐生 稔