20年ぶり復活の社会人王者VS学生王者の日本選手権。帝京は勝てるのか?
2015年8月16日には、合宿先の長野県上田市菅平でパナソニックと練習試合をした。頻繁にメンバーを入れ替えながら、始動したての国内チャンプに35―24で勝利した。奇しくも来季からパナソニック入りするフッカーの坂手淳史主将は、「皆が自分たちで考えて行動していけるように見える。この状態を継続できれば…と思うとわくわくします」と手応えを語った。 途中、関東大学対抗戦Aで筑波大に敗れたり(17-20)、大学選手権の準決勝で大東大から33失点を喫したり(68―33)。一時は、目標達成に向け回り道を辿っているようにも映った。ただ、スコアには現れぬ収穫や反省も、日本一を「必然」とする材料になり得る。 筑波大に屈した直後、1年生のウイング竹山晃暉は「これからもっと強くなるな」と言い切った。 「負けていいことはないですが、それでも、よかったのかな、と。あの日の後、練習はよくなりました。筑波大に負けたことで、強くなれるチャンスをもらえた」 無事、学生王者となって迎えた27日の全体練習。1時間半のミーティングを経てグランドに出たら、約2時間、エリアごとの守備連携を確認した。前日には攻撃のフォーマットをチェックしたようだ。24日のトップリーグプレーオフを受け、パナソニックの特徴を改めて分析しているようだ。 静謐な雰囲気。勝敗を分ける肉弾戦の要であるロックの飯野晃司は、どんな質問にも「自分たちがやってきたことを、やり切る」とだけ返す。きっと、俗に言う「秘策」はない。「秘策」などないところに、あったとしてもそれを強調しないところに、「必然」での勝利を目指す帝京大の矜持がにじむ。 パナソニックは、昨秋のワールドカップイングランド大会出場者を7名も擁する。司令塔には、故障明けの元オーストラリア代表であるベリック・バーンズが屹立する。控えはニュージーランド出身で最近好調のヘイデン・パーカーだ。どちらが出ても、持ち味のキックでチャンスを伺うプランを具現化するだろう。 夏場、帝京大に屈した際は、負傷や各国代表のキャンプのため主力格の過半数が不在だった。番狂わせを「必然」にしたい帝京大のスタンドオフ、松田力也も、「夏の練習試合は、ないものと考えています」と口にする。故障さえなければベストメンバーを揃えるであろうパナソニックにあって、フッカーの堀江翔太キャプテンはこう発す。 「学生とは思わんとこうかな、と。強いですもん、帝京」 黄金期に入る前の同大を卒業した30歳は、首脳陣にいつも通りの準備をするよう求めている。通常のトップリーグと同じように試合翌日はリカバリーし、練習再開時に自分たちの攻守の連携を確認し、相手の強みと弱みを把握し、徐々に鍛錬の強度を上げてゆく…。