〝西日本大震災〟は「2030年代に必ず起きる」 ワタミ、陸前高田で復興ワイン作り
【経営者目線】 ニッポン放送の番組で、『M(マグニチュード)9地震に備えよ』(PHP新書)などを出版している京都大学名誉教授の鎌田浩毅さんと対談した。 鎌田さんは2011年の東日本大震災以来、「1000年ぶりの大地変動の時代に入っている」と指摘する。日本に首都直下地震、西日本大震災、富士山の噴火の3つの大きなリスクがあると警鐘を鳴らす。 首都直下地震については、「東京には19カ所も活断層があり、そのどれかが動くことで起きる」という。 南海トラフ地震については、100年周期で、これまで10回程度、規則正しく地震はきており「2030年代に必ず起きる」と断言したのが衝撃だった。静岡から九州の宮崎までの地域を襲い、鎌田さんは別名、西日本大震災だという。産業経済の中枢を襲い、日本の人口の半分が被災するという。原発も多くある。東日本大震災の10回分に等しい大きな損害をこうむるという。 私は富士山を望む河口湖にも家があるが、「富士山は300年間マグマをため続けている。2030年代におきる南海トラフ巨大地震が、噴火の引き金を引くだろう」と鎌田さんは警告する。火山灰が首都圏を覆い、農作物はもちろん、発電所や、浄水所が停止し、電気、水道、ガスのほか、高速道路や、空港などの交通網も閉鎖され、経済活動がストップするという。 私の視点では、仮にこれらの大災害に見舞われた場合、日本の財政は持つのか心配だ。 土木学会の試算によると、首都直下型地震が起きた場合の税収減と復興事業費を合わせた財政的被害は389兆円に上る。東日本大震災のころはアベノミクスも始まっていなかった。 今、国の借金は1300兆円を超え、日銀が大量に国債を引き受けている。今後、震災対応で仮に約400兆円近い国債を発行する際は、「引き受け手」の問題が出てくる。日銀に引き受けさせれば財政ファイナンス、日銀以外なら金利が跳ね上がり、政府は予算を組めなくなる。いずれにしろ円は信用を失い「大暴落」するだろう。大地震が財政破綻の引き金をひく可能性も大いにある。 衆院選の真っ最中だが、バラマキを続ければ、本当の有事に財政的余裕が失われる。石破茂首相は「防災省」創設を構想しているというが、真の防災は財政再建だといいたい。
ワタミは、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市にある、ワタミオーガニックランドで、ワインを醸造するプロジェクトをおこなっている。ソーラーシェアリングで、有名なぶどう品種「マスカット・ベーリーA」を栽培し先ごろ収穫した。春には、そのぶどうを用いたオーガニックのワインができる。復興の象徴の味だ。大地震は天災だが、財政破綻は政治の人災だ。今回の選挙、バラマキ政策に酔いしれることは避けたい。 (ワタミ代表取締役会長兼社長CEO)