人質解放は24日以降か イスラエル軍が新映像 “トンネル内部”公開 生活空間も
イスラエルとイスラム組織ハマスが合意した人質の解放は、24日以降になるとみられています。こうしたなか、イスラエル軍は、トンネル内部とする新たな映像を公開しました。 ◇ 先月7日に軍事衝突が始まって以降、初めて本格的な戦闘の休止で合意したイスラエルとハマス。しかし、ガザ地区ではイスラエル軍による激しい地上作戦が続いていました。 南部のハンユニスでは、イスラエル軍の空爆により、多くの死傷者が出ています。 住民(22日 ガザ地区ハンユニス) 「ハマスには『休戦をしないで』 と言いたい。イスラエル人は合意を守らない。彼らは犯罪者であり、我々を殺したいだけなんだ」 住民によりますと、この空爆により、約100人が死亡しました。 増え続ける、民間人の犠牲――。 戦闘の休止は、いつ始まるのでしょうか。 戦闘休止について、イスラエルメディアは、現地時間の23日午前10時(日本時間午後5時)に開始される予定だったが、現在、合意が保留されていて、開始が遅れるとの見通しを伝えています。 また、イスラエル政府高官は、「人質の解放は、現地時間の金曜日、24日までは行われない」との見通しを示したということです。 イスラエルの有力紙「ハーレツ」は、遅れの理由として、ハマス側が、解放するイスラエル人の人質のリストを提出しておらず、仲介役のカタールとの合意文書にサインしていないため、としています。 ◇ こうしたなか、イスラエル軍は22日、新たな映像を公開しました。イスラエル軍が制圧した、シファ病院の敷地内の地下で発見されたというトンネル内部の映像です。 イスラエル軍報道官 「このトンネルは、普通のものとは違い、複雑で、長期間生活ができるようにトイレもあります」 300メートルほどの長さのトンネルに、さまざまな部屋がつながっているといいます。 イスラエル軍報道官 「この部屋は、作戦を指揮する部屋で、通信機器があり、電気は病院から供給されています」 トンネルの途中には、キッチン、さらに、エアコンが完備された広い部屋も…ハマスの“会議室”として使われていた、と主張します。 イスラエル軍報道官 「見てください。この電線で、電気と通信が確保され、このトンネルが“テロの司令部”として機能するのです」 イスラエル軍は、この映像の投稿にあわせ、SNSに「世界よ、これで証拠は十分か」と発信していて、病院への攻撃に対する正当性を強調したい狙いがあるものとみられます。 ◇ 一方、荒廃が進むガザ地区に、あえて戻るという人もいます。 後閑駿一記者(ヨルダン川西岸エリコ) 「こちらでは、イスラエル国内から追放されたガザ地区の労働者に向けて、衣食住を提供する施設が造られています」 イスラエル政府は、ガザ地区出身の労働者約1万8500人に対して、国内での就労許可証を出していましたが、ハマスによる大規模攻撃を受け、就労許可証を剥奪しました。多くの労働者が、国外へ追放されたのです。 そのため、ヨルダン川西岸地区にも、2000人以上のガザ地区出身の労働者が退避する事態となっています。 私たちが話を聞いたのは、ハレドさん。いま考えているのは、ガザ地区内に残っている家族のことです。 ハレドさん(ガザ地区出身の労働者) 「(ガザ地区にいる)家族の安否を、とても心配しています。」 “家族と再び会いたい”と願い、ガザ地区に戻ることを希望しているといいます。ただ、ガザ地区へ戻れたとしても、家族と再び会える保証はありません。 ハレドさん(ガザ地区出身の労働者) 「(ガザにいる)家族はインターネットもなく、連絡を取る方法がありません。なぜ、罪のない人たちが、こんな状況を強いられるのでしょうか」 多くの市民が、苦しみが終わる日を待ちわびています。