三谷幸喜×西島秀俊が語る“男の小ささ”「天ぷらそばで勝ち誇った自分が小さいなと思いました」
男の小ささは小学生の頃から変わらない
――スオミをめぐって元夫たちがちょっと張り合ってしまうところがなんとも言えないおかしみを誘います。ああした男の小さなプライドについてお二人は情けないなと思うタイプですか。それとも、わかるなというところがありますか。 西島 草野がついスオミと会っていた頻度を盛って話してしまうところがあるんですが、もう別れたんだし、関係ないはずなのに、ああいうふうにちょっと虚勢を張ってしまうところは誰にでもあるんでしょうね。今まで付き合った男の中で自分のことがいちばん好きであってほしいみたいな。実際、そんなわけないんでしょうけれど。 三谷 書く人間としては、やっぱり自分の中にないものは書けないんですね。すべての登場人物が自分の分身ではあるので、彼らのような感情になったことは今まで何度もありますし、どこか全員に自分を投影させて書いているところはあります。 西島 僕自身、コメディタッチの作品をやるときに、そういう男の小さいところを演じるのは好きで、自分の中にある小さなプライドをあえて誇張して引っ張り出してやるところはあります。 三谷 僕、西島さんのいちばん好きなシーンは、「全員集まれ」と言われて集合するときに、後ろでふてくされながら柿の種食べてるところなんですよ。ブツブツ言いながら前に出てくるんですけど、あれがいいなと。 ――主語を大きくして語るのは良くないですが、なぜ男はああいう小さいところがあるんでしょうね。 三谷 やっぱり基本的に男はプライドが高いですからね。特に今回のように一人の女性を中心に男たちが集まると、どこかで自分は他の4人と違うんだというところを持っておきたいっていうのはあるんじゃないですかね。 西島 小学1~2年生の男の子でも、すでにそういう小競り合いをやったりしますからね。それを見て、ちっちゃいなと思うけれど、結局自分たちがやっていることも大して変わらないことに気づくというか。程度の差はあれ、子供と同じようなことをやっているんだなと身につまされます。 三谷 知り合いの小学生の男の子に好きな女の子がいて。でも恥ずかしくて、本人に直接好きだとは言えないそうなんです。で、どうしたかと言うと、いろんな策を弄した結果、まず友達に好意を伝えて、それが友達からめぐりめぐって本人の耳に入るように仕組んだらしくて。それを聞いて、小学生から男の小ささは変わらないんだと思いましたね。