貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB専務理事
[アムステルダム 21日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストであるレーン専務理事は21日、貿易の一段の分断化は世界経済の生産に「相当な」損失をもたらすとの見方を示した。分断化による初期のインフレ押し上げ効果は数年かけて「徐々に鎮静化する」とした。 同氏の発言は、世界貿易戦争の影響を巡ってECB当局者が発した最も厳しい警告となった。今月5日の米大統領選で勝利を果たしたトランプ次期米大統領は、保護主義政策を掲げている。 レーン氏はアムステルダムでの講演用スライドで、「貿易の分断化は相当な生産の損失を伴う」とした上で、「分断化によるインフレ効果は徐々に弱まる」と指摘。全てのセクターが部分的な貿易制限を受けた場合、世界の生産高は2%、制限が全面的な場合は約10%、それぞれ減少すると予測した。 欧州連合(EU)での影響は予測と同程度になるとした一方で、中国の予測はるかに悪く、「どんなシナリオでも中国は打撃を受ける」とした。 世界的なインフレの影響については、「デカップリング(分断)が緩やかなシナリオ」で60ベーシスポイント(bp)、厳しい想定では最大400bp上昇するものの、その後は4─5年かけて「徐々に弱まる」との見通しを示した。