【独自】「謝罪どころかカネを払えと脅された」夢グループ・石田社長が明かした「4200万円背任事件」の全貌
一番がっかりしたのは「弁護士」
――社内の異変に気付いた石田社長は、その後、どう動いたのですか。 僕はチーム全員に自宅待機を命じるメールを送りました。下手に社用のパソコンを持っていかれたら、証拠を隠滅される可能性があるからです。彼らは自宅待機に応じました。 そうしましたら、事態は急転しました。自宅待機を命じた翌々日くらいに、突然、弁護士から連絡がきたんです。それも、チームの中の3人ほど、一人ひとり違う弁護士がついて。 半ば脅しのような、上から目線の内容でしたね。「さも犯罪人のように自宅待機を命じられたことで、精神的苦痛を与えられた」と。ついては「それなりのおカネを払え」と、言ってきたんです。長年働いてきたにもかかわらず名誉を傷つけられた、と相手側が主張してきたんです。 弁護士を立てたメンバーの中には、川崎容疑者もいました。そのあたりからようやく事件の概要が少しずつ見えてきたんです。 ――川崎容疑者は約30回にわたって、本来、広告代理店から夢グループに支払われる広告費の一部を、ワイルドワンの口座に振り込ませていた、と。 この頃、ワイルドワンの沖山社長と初めてお会いし、話をしましたが「私たちは正当な仕事をしているだけです」と、何も悪いことをしていないの一点張りで、話になりませんでした。 その間も、川崎容疑者ら本人たちからは謝罪の連絡は一切ありません。しかも弁護士を通じて、「退職金はいらない。しかし、不当な扱いを受けたことによるカネを払え。払わなければ、訴えるぞ」と脅してきたんです。医師の診断書も送られてきました。 私が今回の事件で一番がっかりしたのは、むしろこの弁護士たちです。成功報酬を優先することで、彼らが反省して、謝罪する機会を奪ったわけです。「弁護士の先生が言っているんだから、間違ってないんだ」と洗脳させた。その狡猾さが、私は気に入らないんです。
川崎容疑者を信用していたが…
――そもそも、川崎容疑者はどういった人物だったのでしょうか。 16~17年前頃に入社したかと思います。その当時はまだ、「狩人」が入ったばかりの頃で、社員としてはかなりの古株でした。 僕からは素直な、ただ神経質な人物に映りました。いつも「まずい、まずい」と心配しているような、何でも深く考えこんでしまう性格だったと思います。 仕事については一生懸命でした。営業部門ですから、毎月、売り上げ目標もあります。それを必死にこなしているように見えましたよ。 また、彼を信用していたのは、これまで大きなトラブルを起こしてなかった点にもあります。会社の中で多少の人間関係のトラブルはあったとしても、営業としてより重要なのは社外です。外部の取引先と揉めたという話やクレームなどは一切なかったはずです。 ――人間関係のトラブルとは、一部週刊誌の報道にあった「社内で壮絶なパワハラを行い、部下を退職に追い込んだ」件のことでしょうか。 僕もその報道を読みましたが、初耳だったので正直驚いています。周囲のスタッフに聞いても記憶にないと言いますし、彼女についてはほとんど話したこともなく、よくわかりません。 ――いずれにせよ、石田社長は信用していた川崎容疑者に「背任」という形で裏切られた。その後、警察へ相談するに至った経緯は。 会社のおカネが不正にとられたわけですが、それによってお客様に直接損害を与えることにならなかったのは、まず良かったです。その上で、会社のおカネは、一緒に働く従業員が必至で生み出したおカネでもあります。 社長に謝ることができなかったら、社員に謝ってくればいい。けれど、それもしない。そんな気持ちを抱くうちに、「間違ったことをしたら謝る」という自分の常識がおかしいのか、と考えるようになりました。そこでやっと、警察に相談しにいく決心をしました。