「トランプ氏の招待」受けられなかったエヌビディアCEO、サムスン除きマイクロンだけ叫んだ
「マイクロンのG7メモリー、これで前世代よりデータ処理性能が2倍良くなりました」。 エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が新製品のグラフィック処理装置(GPU)を紹介しながら投げかけたこの一言に、韓国と米国を代表するメモリー半導体企業の明暗が分かれた。新製品の主要メモリー供給会社として知られるサムスン電子を除いてマイクロンにだけ言及したためだ。中国のロボット・電気自動車メーカーを対象に事業を育てて米国政府の顔色をうかがうエヌビディアのジレンマのためという分析が出ている。 ◇サムスンのメモリー使いながらマイクロンだけ公開言及 6日に米ラスベガスで行われた家電・IT見本市のCES2025の基調演説でフアンCEOはエヌビディアのコンシューマー向けGPUであるRTX50シリーズにマイクロンのグラフィックGDDR7を使ったと話した。 GDDR7はパソコン用GPUに装着される超高速メモリーで、データセンターに主に使われる広帯域メモリー(HBM)とともに高付加価値DRAM製品だ。昨年サムスン電子を筆頭にSKハイニックスとマイクロンまでメモリー3社がすべて開発に成功し、競争の末にサムスン電子がエヌビディアの主要供給会社に選定された。先月にはサムスンGDDR7を搭載したRTX5090基板の実物写真が流出したりもした。 ところがフアンCEOがサムスンは抜いてマイクロンだけ言及したのだ。この日の基調演説を中継映像で見たサムスン電子社内でも「われわれの製品使いながらなぜマイクロンだけ言及するのか」という疑問とむなしさが出てきたという。この日マイクロンの株価は時間外取引で5%以上上昇し、サムスン電子の株価は下落した。 翌7日の記者懇談会でこれに対する質問が出ると、フアンCEOは「サムスンとSKもグラフィック用メモリーを作るのか」と問い返し、「わからない、特別な理由ではないだろう」とやり過ごした。 ◇エヌビディアの計算された「協力会社露出活用」 自社製品にどの会社の部品を使ったのか明らかにせず、納品企業も顧客名を出さないのが先端IT産業界の慣例だ。アップルは納品会社の口封じを徹底することで有名だ。ところがフアンCEOは正反対の動きを見せた。台湾に行って台湾のパッケージング企業子会社の名前までひとつずつ言及して歓心を買う形だ。今回のマイクロンへの言及も近く発足する米トランプ政権を意識したとの業界分析が出ている理由だ。 フアンCEOは7日、ブルームバーグとのインタビューで「(トランプ氏のマールアラーゴの自宅に)まだ招待されていない。トランプ氏と会って祝い、この政権が成功できるように可能なあらゆることをしたい」と話した。 トランプ政権が予告した関税政策に対しては、「政府がどのような決定を下そうがエヌビディアの観点から最大限多くの洞察力を提供し、政権が国益に最も合致する決定を下すだろうと信じる」と話した。 前日の基調演説でフアンCEOがエヌビディアのロボット開発・訓練用のAI製品・サービスを紹介する際、ステージの裏ではフーリエやユニツリーなど中国メーカーのロボットが両側に並んだ。また、彼は自動運転で「世界で最大の電気自動車メーカーBYD」「素敵な会社シャオミ」と協力しているともした。「米国のAIチャンピオン」の地位とAI半導体・ソフトウエアを買う巨大な中国市場という2匹のウサギを両方つかまえようとする姿だ。 トランプ政権の関税政策はエヌビディアの輸出だけでなく生産にも直結している。台湾のサーバー会社フォックスコンは昨年10月、「エヌビディアのチップ製造専用として世界最大の工場をメキシコに作っている」と明らかにした。フォックスコンはエヌビディアの次世代システム「ブラックウェル」の最大組み立て協力会社だ。ところがそれから1カ月後にトランプ氏がメキシコ製品に25%の関税を課すと公言し、フォックスコンはあたふたと米テキサス州での工場用地確保と建設推進に乗り出した。