開幕間近! 最後のツアーとなるパッパーノと歌手陣が登壇。英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演開幕記者会見
劇場の街のオペラハウスで得た、22年の経験
続く質疑応答で、ROHでの22年間を振り返っての感想を尋ねられたパッパーノ。「何年間、ではなく、作品一つひとつに意味を見出している。私はどちらかというと貪欲なので、いろんなものをやりたかった。ワーグナー、プロコフィエフ、ベルク、モーツァルト、ヴェルディ、プッチーニ、ジョルダーノ、シマノフスキ、ベルリオーズにロッシーニ──。作品一つひとつを積み上げていく中で、私自身、その音楽的解釈や考え方をしっかりと固め、オペラハウスのみならず、劇場というものに対する考え方を確固としたものにすることができました。素晴らしい演出家や歌手との協力関係、ここで働いた時間、量より、質の高い経験を得ることができたと思っています」。 ミアーズも、ROHの魅力について問われると、ロンドンという劇場の街にあるオペラハウスであること、また300年の歴史をその特徴として挙げた。またROH出演回数の最も多い方にも同じ質問を、という要望に応じたのはジェイド。「数えてみたら、ROHへの出演は6演目。帰ってくるたびにスタッフが気を遣い、私たちの仕事がしやすいよう環境を整えてくれます。私たちは自分たちの芸術に集中でき、全力を投入できる。それが ROHの素晴らしさです」。 両作品に登場する役柄、その捉え方について尋ねられたソプラノのふたり。「ジルダが唯一受けていたのは、キリスト教の教育。彼女は他者の罪を背負い、その身を捧げて死にますが、その行動は強い確信、強い信仰に基づいているのです」と熱っぽく語ったシエラ。一方のラングワナシャは、「愛する者を守るために死を選ぶことは、リューにとっては自然なことだった」と、チャーミングな笑顔を見せた。 パッパーノとの最後のツアー。きっと、演劇の街ロンドンのオペラハウスならではの魅力を、存分に堪能させてくれることだろう。 取材・文:加藤智子 <公演情報> 英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演 ●ジュゼッぺ・ヴェルディ 『リゴレット』全3幕 指揮:アントニオ・パッパーノ 演出:オリヴァー・ミアーズ 2024年6月22日(土) 15:00 神奈川県民ホール 2024年6月25日(火) 13:00 神奈川県民ホール 2024年6月28日(金) 18:30 NHKホール 2024年6月30日(日) 15:00 NHKホール [主な出演者] マントヴァ公爵:ハヴィエル・カマレナ リゴレット:エティエンヌ・デュピュイ ジルダ:ネイディーン・シエラ ●ジャコモ・プッチーニ 『トゥーランドット』全3幕 指揮:アントニオ・パッパーノ 演出:アンドレイ・セルバン 2024年6月23日(日) 15:00 東京文化会館 2024年6月26日(水) 18:30 東京文化会館 2024年6月29日(土) 15:00 東京文化会館 2024年7月2日(火) 15:00 東京文化会館 [主な出演者] トゥーランドット姫:マイダ・フンデリング カラフ:ブライアン・ジェイド リュー:マサバネ・セシリア・ラングワナシャ