150色の色鉛筆で描かれる鮮やかな絵。ダウン症の娘の夢、パリでのアートフェアへの出展が今秋ついに実現!!【体験談】
個展を開くことは実母と美貴の願い。15歳のとき初個展を
――美貴さんが15歳のときに初個展を開いたそうです。 敦子 母は生前、「20歳になるまでに個展を開けたらいいね」って美貴と話していました。美貴自身も「みんなに絵を見てほしい。絵を見てみんなが笑顔になってほしい」って言っていました。 「2人の願いをかなえたい」。そう強く望んでいました。そして、友人とギャラリ―に勤める知人のご縁で、個展を開ける会場を紹介してもらえることになりました。 美貴が15歳のときです。母と美貴の描いた夢は、目標より5年も早く実現しました。 ――美貴さんの絵は150色もの色鉛筆を使い、緻密に描き上げます。個展を見に来た方からはどのような感想が聞かれますか。 敦子 「見ていて飽きない」「心が落ち着く」「元気になる」「笑顔になる」などの感想をいただいています。お客さまの中のお医者さまには、「色彩の組み合わせにセラピー効果がある」と言われたこともあります。 「見てくれる人を笑顔にしたい」。美貴が絵を描き続ける原動力はこれに尽きます。絵を見てくださる多くの方の言葉から、美貴の思いがみなさんに届いていることを感じ、母親としてこんなにうれしいことはありません。 ――美貴さんはどんなときに、どんなふうに制作活動をするのでしょうか。 敦子 描きたい!と思ったら、描かずにはいられない、といった感じです。絵を描いているときの集中力はものすごく、まわりの声が聞こえなくなるほど。好きなことであれば、ビックリするほど没頭します。6時間休みなしで描き、食事をするのを忘れてしまうこともしばしばです。 美貴の場合は、アーティスト特有の気質もあると思うので、理解し、受け入れています。でも、姿勢が悪くなったり運動不足になったりするのは心配。健康管理は私が全面的にサポートし、キリがよさそうなときに声をかけて、散歩やダンスに誘います。自分でも少しずつですが切り替えています。 ――作品のテーマやモチーフはどのように決めることが多いですか。 敦子 美貴はリズムに乗って連続して描くことが好きです。洋服や建物などをモチーフに選ぶことが多いかもしれません。とくに大好きな代表作は「Dress」です。柔軟にいろいろなパターンの絵も描きます。季節ごとの題材を私が提案して、描くこともあります。 ――美貴さんは英語の辞書を写すことにもハマっているとか。 敦子 そうなんです。絵を描く気分転換に英語の辞書を写しています。それも英単語だけでなく、発音記号や解説もすべて辞書のとおりに写すんです。字もアートのようでかわいらしいですよ。美貴にとって文字を写すことは、絵を描くことに通じるものがあるのかもしれません。とっても楽しそうに写しています。 ほかには、YouTubeやゲームも好きです。