華やぐF1、新規参入の基準が上がるのはあたりまえ? マクラーレン、アンドレッティ拒否に納得。一方”反米姿勢”の存在は否定
先月、アンドレッティのF1新規参戦計画をめぐり進展があった。かねてよりアンドレッティを後押ししてきたFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長が、新規参戦という形ではなく、既存チームを買収してF1グリッドに加わるべきだと提案した。 【動画】次世代F1マシンはこうなる! FIAが2026年新規則を公開 マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、現状ではアンドレッティの参戦を拒否するというF1オーナーのリバティメディアの判断に同意。F1が経済的に成功する中で、新規参戦チームにも高い基準を求めることはフェアなことだと指摘した。 「リバティがこのスポーツのためにしてきたことは、信じられないようなことだと思う」とブラウンCEOはESPNに語った。 「規律を守るために必要なことを考えれば、我々はコストをコントロールする必要があった。その結果、F1史上最もタイトなグリッドが誕生した」 「歴史的にF1では、参戦して姿を見せ、その年の途中でダメ(撤退)となっても、このスポーツは気にしなかった」 「過去にはローラがチームを設立し、3レースで倒産したこともあった(※編注:実際には第2戦の直前で撤退)。リバティは今、非常に(経済的に)健全なチームが10チームいる状況だから、11チーム目、12チーム目に関しては最高水準に引き上げることになった。それはフェアなことだと思う」 「以前は倒産するチームが必ずいた。今は半数以上が黒字化している」 「それらのブランド価値も……例えばウイリアムズは1億5000万ドル(約237億2200万円)で買収されたと思うが、5年経ってチームを10億5000万ドル(約1660億5700万円)以下で買収できるとは思えない。価値創造は計り知れないのだ」
F1に反米的な姿勢なし
アンドレッティの新規参戦の一件にはF1、FIA、チームという登場人物にアメリカ政界も加わった。 アンドレッティ側の訴えかけを受けて、超党派のアメリカ国会議員がアンドレッティのF1参入を拒否した理由を説明するよう、リバティメディアのグレッグ・マフェイCEO宛てに書簡を送付。反米的な姿勢があるのではないかと示唆したのだ。 しかしアメリカ出身のブラウンCEOは、これに激しく反論した。 「F1に反米的な姿勢があるとは全く思わない」とブラウンCEOは続けた。 「このスポーツを見ると、ヨーロッパのメーカーがいて、北米メーカーのフォード、日本のホンダがいる。このスポーツは非常にグローバルなのだ」 「世界的に見て、どこかの地域に対してのみ好意的であったり否定的であったりしたことは一度もない。世界中がF1に参加している」 「アメリカに関して言えば、リバティメディアはアメリカ企業で、F1史上最大の投資が行なわれたラスベガスを含め、アメリカでのレースは年間1回から3回になった。フォードも最近このスポーツに入ってきた」 「私自身アメリカ人だし、このスポーツで最高のチームのひとつを運営している。Netflixはこのスポーツにとって世界的に、特に北米で素晴らしい役割を果たしている。そして今、ブラッド・ピットが国際的な(F1)映画を作ろうとしている」 「このスポーツにとって素晴らしいことだ」 そしてブラウンCEOは次のように締めくくった。 「(アンドレッティ側の)フラストレーションは理解できる。しかしF1はアメリカを敵視している訳ではない。問題の根本がアンドレッティとF1の間にあること、そしてこの付加価値(が求められるということ)は残念だと思う」
Emmanuel Rolland
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