北村匠海が考える、『クレヨンしんちゃん』が愛される理由 “家族”のテーマが持つ普遍性
シリーズ31作目となる『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』にゲスト声優として出演を果たした北村匠海。Netflixシリーズ『幽☆遊☆白書』で主演を務め、2024年4月期ドラマ『アンチヒーロー』(TBS系)への出演、4人組バンドDISH//でのアーティスト活動など、幅広いフィールドで常に新しい姿を届けてきた。 【写真】北村匠海撮り下ろしカット(複数あり) 4作目の声優出演となった北村が本作で演じたのは、恐竜が大好きな生物学の研究者・ビリー。声の芝居について「歌や役者の芝居とはまた違う筋肉を使いました」と語る北村に、『クレヨンしんちゃん』にまつわる思い出や、“ひと夏の成長”を描いた本作にちなみ、「今年の夏挑戦したいこと」について聞いた。 ――『クレヨンしんちゃん』は「子どもの時から大好きな作品」だそうですね。オファーが来た際の率直な感想について教えてください。 北村匠海(以下、北村):まず、僕に当て書いたキャラクターでオファーをいただき、監督が「北村匠海をイメージして作りました」とおっしゃってくれたのが印象的でした。長い間愛されてきた『クレヨンしんちゃん』は、自分も子供の頃から触れてきた作品だったので、すごく嬉しかったです。 ――役作りに向けて、試行錯誤したことはありましたか? 北村:ビリーは僕をイメージした役なので、さらに僕がイメージを膨らませる必要はないと思いました。僕が等身大の自分でいくことが、おそらく皆さんがイメージするビリーに一番近いのだろうと。だからこそ、ビリーには共感できる部分がたくさんありました。僕は、お芝居において、役と自分との共通点をあまり考えずに役作りをするんです。今回は僕の出演作をいろいろ観てくださった上で、ビリーのイメージを作ってくれたと思うので、イメージに一番近い状態でいくことが正解なのかなと考えました。 ――ビリーとの共通点で一番しっくりきた部分は? 北村:僕はいろんなことを追い続ける人間なんですけど、恐竜の研究に熱心な部分だったり、1つのことを追い続けたり、好きなことに対する情熱みたいなものは、ビリーと通じるものがあるなと感じました 。あとは、赤ちゃん恐竜のナナに対しての愛情だったり、仲間や家族に向ける無償の優しさには共感できるものがあります。 ――アフレコ現場での印象的なエピソードがあれば教えてください。 北村:難しいディレクションとかはなく、やはりビリーが自分をイメージしているキャラクターだから、「そのままでいてください!」と言われていました(笑)。歌のレコーディングでも共通して言えることですが、僕はマイクに声を乗せる際に、「声をそのまま乗せること」を意識しています。今回は、歌や役者の芝居とはまた違う筋肉を使いました。これがある意味での役作りだったのかな。ビリーにとっての自然な声作りは最初に何回も試行錯誤しました。コツをつかんでからは、スムーズにいきました。 ――画面越しに観ていた『クレヨンしんちゃん』の世界に入る感覚はどうでしたか? 北村:今まで僕が声優として携わってきた作品は、アフレコの段階ではまだラフの絵の状態だったり、声入れの順番でプロの声優の方々より僕が先に撮ってたりということが多かったんです。でも今回は、絵も全て完成していて、僕以外の声はすべて入っていました。作品の最後の1ピースとして僕が声を吹き込むという流れだったので、映画を観ている感覚もあり、しんちゃんたちが確かに存在してる中に自分が息を吹き込んでいくという感じだったので、すごく感動しました。恵まれた環境だったからこそ、僕も良いお芝居ができて、素晴らしい作品にすることができたのだと感じています。 ――声優としてのご出演は、今回で4作目になります。“声のお芝居”で意識していることがあれば教えてください。 北村:『ぼくらの7日間戦争』の時に、他の方と2日間みっちりやらせていただきました。現場で学ぶことも多かったですし、話すタイミングやマイクとの距離、咀嚼する音とかは本当に職人の技だなと肌で感じました。マイクとの距離で空間を演出するという部分は、今まで学んできたことが活かされているなと思っています。 ――マイクとの距離、興味深いです。声の発声については? 北村:やはり、マイクに乗せる声と普段喋る声とでは身体の使い方が全く違うんです。俳優としてはこれが正解だけど、舞台ではまた違う演技が求められるし、歌でもまた違った発声になります。当然、声優でもまた違う発声が求められるので、ビリーというアニメーションに登場するキャラクターの発声にするということを意識していました。 ――実際に本編を観た感想を教えてください。 北村:しんちゃんたちの邪魔になってなくて良かったーと思いました(笑)。 ――ご自分の演技を振り返ってみてどうでしたか? 北村:僕もアニメが大好きなので、役者が声優をやることに対して、求められているものはプロの方々のような職人的なことではなく、役者としての表現力なのだと思っています。だから今回は、観ている方にとってビリーに違和感がないことがすごく大事なのだと。そこに関して、僕の中で違和感がないものにできたと思えたので良かったなと思っています。