イスラエル市民の日常生活にあるシェルター 日本の備えは十分か 千夜一夜
出張で10月に訪れたイスラエル西部の商都テルアビブで、「シェルターのない古い建物を建て替える動きが加速している」と聞いた。パレスチナ自治区ガザからの攻撃はかなり減ったが、テルアビブには隣国レバノンや遠く離れたイエメンからも無人機やミサイルが飛んでくる。地元政府や住民の危機感は強い。 米メディアによると、イスラエルには1991年の湾岸戦争の際にイラクからスカッドミサイルが撃ち込まれ、建物を新築する際のシェルター併設が義務づけられた。テルアビブには地下の公共用シェルターも約170カ所あるという。 その一つに入る機会があった。イランがイスラエルに弾道ミサイルを放った10月1日夜のこと。テルアビブでは攻撃が収まった後も、あちこちのアパートの住人らが自室に戻らずに路上で様子を見ていた。 「今なら解錠されているから入れるよ」。あるアパートの住人に言われ、地下のシェルターに入ってみて驚いた。小学校の教室5つ分ほどの広さで空調も効いていて、ペットの犬が寝そべっていた。 「通りにいるとき警報が鳴ったら、付近住民に助けを求めること。みなシェルターに入れてくれる」と知人から聞いた。ミサイルや無人機が付きまとう日常。日本の備えは十分か、とふと思った。(佐藤貴生)