「生まれもってのヒーローいない」前ラグビー日本代表荒木コーチ講演
ラグビー日本代表でメンタルコーチを務めた
しっかり練習しているはずなのに、なかなか成績が伸びない……。そんな悩みを持つアスリートたちに心理学的見地からアドバイスするのは、ラグビー日本代表でメンタルコーチを務めた兵庫県立大学准教授の荒木香織さん。このほど開かれた講演会で、選手の目標設定に関して、「高い目標を掲げるのではなく、少し頑張れば達成できる目標を設定し、たくさん失敗をしながら工夫をして自信を付けていけばいい」と助言。学生アスリートたちが熱心にメモを取っていた。 日本ラグビー4年後への強化 縮まる強豪国との差 世界で戦える選手増やせ
生まれもってのヒーローやチャンピオンはいない
荒木さんが講演したのは、大阪府吹田市の関西大学千里山キャンパス。関大がスポーツ文化に貢献した個人と団体に贈る関西大学体育振興大島鎌吉スポーツ文化賞の授与式が開かれ、空手界のホープ清水希容選手ら関大体育会の13人・4団体と、昨年のラグビーW杯で活躍した日本代表チームのメンタルコーチを務めた荒木さんが表彰された。荒木さんは記念講演し、メンタルトレーニングの理論と実際を紹介した。 荒木さんの専門はスポーツ心理学。2012年、大学で教べんを執る傍ら、W杯に挑むラグビー日本代表のメンタルコーチに抜擢された。日本代表は過去のW杯で1勝しかあげていなかったが、大会が始まると優勝候補の一角南アフリカを撃破するなど、3勝をマーク。チームの歴史的快進撃を、荒木さんはメンタル面で支え続けた。 荒木さん自身、学生時代は陸上競技の短距離種目の選手だった。全国大会の上位に入るものの、優勝には届かない。留学先のアメリカでスポーツ心理学に出合う。日本ではいまだなじみがうすいメンタルトレーニングとは何か。 「元々メンタルの強い人はいないので、生まれもってのヒーローヒロインやチャンピオンは存在しない。欧米では著名な選手の多くがフィジカルなトレーニングとは別に、メンタルなトレーニングを行っている。ただし、奇跡は起こらない。毎日の練習と同様、計画的にトレーニングメニューをこなしていく必要があります」(荒木さん)