「きれいでていねいな泳ぎ、今それを必死で探っている」白井璃緒
昨年は日本から世界へといい流れをつかんだ。そして今年、もちろん彼女が目指しているのは、派遣標準記録突破であり、パリ・オリンピックだ。(雑誌『ターザン』の人気連載「Here Comes Tarzan」No.875(2024年3月7日発売〉より全文掲載) [画像]白井璃緒選手
全力で泳いで200mは持たない。今、一番重要なのは泳ぎの安定性。
いよいよパリ・オリンピックが間近となった。まだ出場が決まっていない選手にとっては、正念場であろう。水泳の自由形と背泳ぎのトップ選手である白井璃緒もその一人。 3月17日から24日にかけて行われる国際大会代表選手選考会で出場切符が手に入るか否かが決まるのだ。一発勝負なので、本当に誰が勝つかは予想がつかない。 ただ、白井がいい流れでここまで来ているのは確かだ。まず、昨年4月に彼女は日本選手権の女子200m背泳ぎで優勝を果たし、7月に福岡で開催される世界選手権の代表となった。 「日本選手権はけっこう手応えがあって一本一本集中できたというか、これからの弾みになるような試合ができました。 もちろん、記録が残せない種目(自由形と背泳ぎで出場)もあったのですが、すぐに切り替えて次の種目の準備に移れたのは、自分的にはオンオフの切り替えがすごくうまくできたと思います」 会心の大会だったろう。レースが続く中で自らを保ち続ける難しさは、選手なら誰でも知っていることだ。 「自分の場合、うまくいかないとそればっかり考えてしまい、次のレースに集中し切れなかった部分がすごく目立っていたんです。 でも、去年の選手権では、これはダメだったけど、次のチャンスがあるってすぐ備えられた。 ずっと集中し続けられたんです。最後の種目が200m背泳ぎだったんですけど、そこで決めるしかないという覚悟があった。そういう感覚になったのは、けっこう久しぶりのことだったと思います」 そして、世界選手権。予選は突破したものの準決勝敗退。決勝へは進めなかった。ただ、世界のトップ選手と競い合えたことは、これもひとつ大きな経験になったことだろう。 「バック(背泳ぎ)は多分、(世界で)上位3人ぐらいはもう確定している種目と捉えています。 他の(決勝に残る)5人は安定している選手もいれば、緊張でガタッと落ちる選手もいて、入れ替わる可能性もある。やっぱりオリンピックというと全世界が目標にしていて、気持ちが強い人が決勝に残る舞台だと思うので、自分もそこに食い込んでいければと思っています。 そういう意味では、去年の世界選手権はもっと気持ちを強めていかないといけないと感じさせてくれた大会でもありましたね」