クリエイターの移住が増えている「デザインが芽吹き、躍動するまち」の暮らし[FRaU]
まっさらな場所にいちからプロジェクトを立ち上げることができるのは、クリエイターという職業だからこそ。まだ文化事業的な活動が多くない、余白に溢れた御代田は、実践の場としても最適だった。こうして前村さんが立ち上げたのが「ミヨタデザイン部」。“もし町役場にデザイン部署があったなら”との視点に立ち、2021年から子ども向けにワークショップを行うなど、少しずつ取り組みを進めてきた。 「“部”と冠してはいますが、固定のメンバーがいるわけではなくあくまで緩やかな活動です。プロジェクトごとに、地域在住あるいはゆかりのあるクリエイターに声をかけ、それぞれが持てる力を生かせる分野で協力してもらっています」 例えば、プロダクトデザイナーの熊野亘さんが講師となりバードハウスを作るワークショップを開催したり、〈Takram〉ディレクターでデザインエンジニアの緒方壽人さんとともに3Dプリンターで文房具を作る企画を行ったり。企画の充実度は東京の美術館顔負けだ。そしてこうした活動を加速させたのが〈CORNER SHOP MIYOTA〉の開業。空間の随所に「ミヨタデザイン部」にも参画するクリエイターのアイデアが光る。 「空間は近郊に暮らす建築家の工藤桃子さんとブレストしたり、家具や什器は熊野さんや、同じく御代田に暮らすプロダクトデザイナーの藤城成貴さんに相談して作っていたり。御代田とデザインの繋がりの兆しを感じてもらえる場所になればと思っています」
まちを周遊しながら楽しむ 大規模なデザインイベントも
去る11月の3日間に開催されたのが、ミヨタデザイン部として最大の取り組みとなった「MIYOTA DESIGN WEEKEND」。
東京・蔵前を拠点にプロダクトデザインを手がける〈SyuRo〉が、2023年5月に御代田にオープンしたギャラリー〈SAMNICON〉も会場に。
〈CORNER SHOP MIYOTA〉はもちろん、2022年に開業した御代田写真美術館を中心とした複合施設〈MMoP〉など、地域内のいくつかの拠点が展示やワークショップの会場に。20組以上の団体や作家が出展し、まちを周遊しながら、暮らしとデザインを体感できるイベントとなった。