士業専門コンサルタントが教える、税理士と公認会計士の違い。 (横須賀輝尚 経営者)
■公認会計士兼税理士が「税務」を苦手とする理由
もはや解説するまでもないと思いますが、そういうわけで公認会計士は会計監査の知識はあっても、税務の知識がほとんどない状態で開業します(なかには勉強熱心で、税理士事務所に勤務してから開業する人もしますが)。 ですから、基本的に税務をやったことがない人がほとんど。にも関わらず、公認会計士の試験難易度が高いと言われていることから、公認会計士と税理士を2つ持っていることは、優秀な証明のように見えてしまいますが、実はそうでもないのです(しかも実は、最近公認会計士の合格率は高くなってきたりしています)。 これに対して、税理士が税務を知らないということは、例外を除いてまずありえません。その理由は、税理士の資格を持っているだけでは登録することができず、税理士事務所等での2年以上の勤務経験とその証明が必要になるからです。 税理士事務所以外でも、勤務した一般法人の経理や申告に携わっていれば登録することはできますが、簡単な経理担当ではこの要件は満たすことができなくなっています。 そういう意味では、税理士登録していれば、一定の実務経験はあるので、税務ができないということはまずありえません。 ただ、例外として前述の弁護士資格を通じた登録や、税務署OBからの登録は、実務経験なしに登録できてしまうので、少し注意が必要です。 では、公認会計士には特に仕事を依頼することがないかといえば、もちろんそんなことはありません。会社を大きくしたい、上場したいと考えていれば、最初から監査法人経験のある公認会計士・税理士に依頼をするのが良いでしょう。これは普通の税理士には不可能です。 加えて、ビジネス規模が大きい場合も、公認会計士の方が良いでしょう。税理士はあくまでも中小企業向けの専門家であり、アドバイザー。上場準備、上場企業の税務まではわからないことがほとんどです。ですから、スタートアップと呼ばれるような、上場を目指す場合には、税理士よりも公認会計士(つまり監査法人経験者)を選ぶのがベストだと言えます。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。