名簿業者が「必要悪」と語る理由 無届け業者は「本当の闇になった」
国の個人情報保護委員会に届け出れば、私たちの個人情報を同意なく取引することができる。そんな届け出業者は現在200以上ある。老舗を自称する名簿業者が取材に応じた。 【イラスト】あなたの情報が流出したら…止められる? ◇ もともと父親が始めた事業。1990年代からだと思います。2005年に個人情報保護法が全面施行されるまでは、収益もかなり上がっていたようです。 個人情報保護法ができてから「名簿業者」と言われるようになり、業績も100分の1どころじゃないぐらいに縮小してしまった。採算は厳しい。 持っている個人情報は、のべ約1億件。複数の名簿に載っている人を除いていくと、実際には3200万人分ぐらい。多いときは5千万~6千万件はあったと思います。 昔は「こういうデータ買ってくれませんか」みたいな売り込みがよく来ていました。この5年ぐらいは、まったくありません。 法改正され、個人情報保護委員会に届け出をした事業者しか個人情報の第三者提供ができなくなった。悪いうわさを聞く同業者の名前も怖いくらい聞こえなくなりました。 だから無届け業者は「本当の闇」になったというか。 詐欺に使われているリストもどこからか漏れ出ているはずです。 いずれは(名簿事業を)やめると思います。でも今やめてしまったら、本当に悪徳な業者や詐欺に使うような人にも売るような業者だけが残ってしまう。なので、法律にのっとってはいますが、ある意味「必要悪」として残しています。(聞き手・黒田陸離)
朝日新聞社