監督批判にも?リプレー検証制度「リクエスト」導入で野球はどう変わるか
里崎氏は、今回の導入に課題も残っているという。 「メジャーではリプレー検証専用の映像システムが確立されており、死角になるというケースがほとんどないと聞いています。では、日本の今の放送用の映像カメラの台数や設置角度だけで本当にすべてをカバーできるのか、という疑問があります。陰になるなどして肝心のプレーが正確に確認できないということもあり得るわけです。制度の導入には賛成ですが、それを支える技術面が追いついていないのならば、メジャーを真似しただけ、という不備なものに終わるのではないか、という危惧があります」 メジャーでは20億円とも30億円とも言われる予算を組んでチャレンジ制度のための専用の映像チェックシステムを整備、ニューヨークにあるスタジオで一括してリアルタイムで検証すると同時に、試合ではチャレンジに対応するための審判員も配備されている。だが、今回の「リクエスト制度」では、新たな映像システムが準備されるわけではなく、テレビ局の中継映像が利用される予定で、審判団が、その場で録画映像をチェックして判定することになる。里崎氏が指摘するようにもしクリアな映像がない場合は審判団の判断となる。 また「リクエスト制度」を使い、最初に下された判定が覆るケースが増えれば、審判団の権威が低下、あるいは「ビデオ頼み」で審判の技術が衰退するという危険性もはらんでいる。 里崎氏は、「リプレー検証は審判の高い能力を示すいい機会だと思います。リプレー検証を使っても、ほとんど審判が最初に出した判定と変わらない、というデータが出るほど審判は技術の向上に務めてもらいたいですね」という意見だ。 「リクエスト制度」は、来季の本拠地開催のオープン戦から実施され、公式戦では地方球場での開催試合を含めて全試合が「リクエスト制度」の対象となる。