「区政を変えたい」わずか187票差の劇的な結果となった草の根選挙がドキュメンタリー映画に 東京・杉並区長選、地元在住のペヤンヌマキ監督に聞いた
区長選後に上演を決め急ピッチで仕上げた。自身の体験と、劇場付近の商店街で商店主らに事前取材を重ねた内容を基に構成した。出演した俳優も取材に参加し、道路整備計画に反対の人だけでなく賛成の人からも話を聞き、愛着ある街が道路整備により変貌してしまうことへの住民たちの揺れる心を表現した。「地元に密着した劇を作るのは初めてだった。作品を見る前と見た後で、商店街の町並みへの感じ方が変わる体験をしてほしいと思った」と話す。 ▽「次はあなたかもしれない」 映画は来年1月2日から東京都中野区の映画館「ポレポレ東中野」で公開され、その後、各地でも順次上映される予定だ。タイトルは、区長選に際してアップした動画と同じにした。「『〇月〇日』はどの選挙にもあてはまる。岸本さんだけのことではなく、次に立候補するのはあなたかもしれない。自分のこととして選挙を捉えてほしいという意味を込めた」と話す。 主題歌は区長選の際、岸本さんを応援しようと区民が作った歌を上田ケンジさんと小泉今日子さんによる音楽ユニット「黒猫同盟」がカバーした。テーマは「ミュニシパリズム」。NGO職員時代から岸本さんが日本に紹介してきた言葉で、住民による主体的な政治参加や合意形成を重視する考え方を示している。欧州などで広がりをみせており、岸本さんが目指す区政の方向性でもある。
まだ続編を作るかどうか決めてはいないが、撮影は仕事の合間にできる範囲で続けている。道路整備計画への反対活動も続けていくつもりだ。「岸本さんだから何でも応援するということではない。私は私でできることをやっていく」。自分の体験を基にした映画が、地方自治や政治を「自分ごと」にするきっかけになってほしいと願っている。