［ＧⅠエリザベス女王杯＝２０２４年１１月１０日（日曜）３歳上牝、京都競馬場・芝外２２００メートル］ 　またしてもレガレイラが一本かぶりになってしまいそうな今年のエリザベス女王杯（１０日＝京都芝外２２００メートル）。ただ、すでに単勝１倍台の人気を２回も裏切っている馬（アイビーＳ３着、ローズＳ５着）に全幅の信頼を寄せるのは「？」。精神面の強さ、底を見せない成績に加え、ＧⅠＶのある鞍上に〝鬼〟の乗り替わりとなったホールネス（４歳・藤原）が、ＧⅠ初挑戦初制覇を成し遂げる。

勝負がかりのホールネス

安定感が光るホールネス

「３歳馬」ＶＳ「古馬」の世代バトルが焦点のひとつとなる当レース。過去１０年、必ず３歳馬は複数出走していたのだが、今年はレガレイラのみ。秋華賞組出走ゼロというのは過去１０年になかったことで、いってみれば異常事態。これが、ちまたでささやかれる今年のメンバーの〝薄さ〟の最大の要因になっているのだろう。 　ただ、強豪が少ないこんなメンバーなら何でもアリというのはやや乱暴。ＧⅠに耐え得る〝隠れキャラ〟を探っていくべきだ。その筆頭はホールネス。何せ６戦してオール馬券内。それも、すべて若手の西塚を乗せて安定した結果を残してきたのは特筆に値する。「新潟牝馬Ｓ（１着）はいい位置につけて、落ち着いて乗れていた。この馬のリズムで走らせたことで結果につながったね」と前走を評価する田代助手。一方で、３着に敗れた２走前のマーメイドＳはレース後に西塚が「力がある馬ですが、位置取りや乗り方がうまくいきませんでした」と反省していた。つまり、ここまでのオール馬券内はすべて好騎乗あってのたまものではなく、馬のポテンシャルに助けられた部分も多かった。 　初ＧⅠともなれば場内の熱気も段違い。雰囲気にのまれてしまう恐れもあるのだが、この馬に限ってはそれは杞憂だ。陣営がこの馬を何より評価するのは〝メンタルの強さ〟。「回りに動じることがない」（田代助手）のだという。 　大事に使ってまだキャリア６戦だけに、伸びシロもふんだんに用意されている。「前走のダメージはなく、順調に調整。成長して腰にいい筋肉がついてきた」と田代助手は確実な進化に目を細めている。 　厩舎で面倒をみている西塚から坂井に替えて臨む一戦。これこそがダービー２勝の名門・藤原厩舎〝鬼のＧⅠスタイル〟であり、それだけこのレースに勝負がかかっている証拠だ。