【退職金】「所得税」と「住民税」がかからないのはいくらまで?
退職金は多くの方にとって、老後の生活を守るための大切なものであることでしょう。それゆえ、所得税と住民税の課税については、給与に比べて優遇されています。そこで、何円までなら退職金には所得税と住民税がかからないのか、見ていきます。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
退職金は退職控除の範囲内までなら税金がかからない
退職金の課税時は「退職所得控除」という特殊な控除が適用されます。これによって、一般的な給与収入、例えば毎月の給与と比べて、税金のかからない範囲が広くなっています。 退職所得控除の額は勤続年数によって異なっています。基本的には40万円×勤続年数分になります。つまり、退職金は少なくとも40万円以下であれば税金がかかりません。金額がそれ以上となると、控除額は勤続年数に比例します。 例えば、15年勤続した状況であれば、600万円までであれば退職金に税金がかからないことになります。
勤続年数が20年を超えると、控除額が跳ね上がる
退職金には長年勤めてきた功労への評価も含まれており、それを表すかのように、勤続年数に比例して控除額も高くなり、より優遇されるようになっていきます。 この「優遇」は、20年を境にさらに手厚くなります。勤続年数が20年を超えると、800万円に、1年ごとに70万円が上乗せされます。例えば、22年勤務した場合は940万円まで税金がかからないということになります。
万が一の場合、税金は何円かかる?
このように勤務期間が20年を超えるような場合は、退職金の額にもよりますが、1000万円近い控除額となります。所得税と住民税が退職金にかかるようなことは、ほとんどないでしょう。 参考までに、仮に課税されるとしたら、退職金に税金がいくらくらいかかるか、考えてみましょう。国税庁によれば、30年勤務し、退職金を2500万円受け取った場合、発生する所得税および復興所得税の額は58万4522円になるようです(下図参照)。 図表
出典:国税庁 退職金と税 また住民税の額は、仮に税率を10%として考えると、50万円が生じます(図中で上述した課税退職所得金額500万円に、税率を乗じて算出)。すると、所得税と住民税の額は合計で110万円程度になるようです。 「100万円を超える税金」と考えると高額ですが、「2500万円」という高額な退職金にかかる額として考えると、ごく小さいといえます。 一般的に、2500万円も給与収入があれば、税率は33%~45%となり、さらに高額の所得税が発生します。 この点を考えていくと、退職金は税制上優遇されている分、仮に税金が発生しても、そのことについて過度に気にする必要はないでしょう。ただし、その分手取りが減る点については、理解しておく必要があります。