オランダの決勝進出を阻んだWBCの裏事情
試合に“たられば”はないが、もしボールにかすらせもしないジャンセンが、せめてもう1イニング続投していれば、ゲームの展開は変わったのかもしれない。豪州、中国の監督も、東京ラウンドで語っていたが、メジャーのロースターに入っている選手を起用する場合、所属球団サイドからチームへ大会規定より少ない球数の制限が申し渡されていたという。 日本のようにチームからストップがかかりマー君やマエケンというメジャーリーガーを招集できないケースとは別に、招集できたらできたで、こういう“縛り”が各チームから出される。これも各チームが直面してきたWBCの裏事情だ。 日本との準決勝で先発する米国のロアークも所属するナショナルズから“登板間隔を空けすぎたら困る”との訴えがあったともされていて、ここにも隠れた裏事情が。 一方、プエルトリコの勝利投手となったディアスは、ジェンセンと違い、1次ラウンドから参戦。1次、2次ラウンドでは3試合に投げ、ドミニカ戦では、すでに回跨ぎ登板もしている。最速164キロのストレートを武器に昨年シーズン途中からストッパー起用された新人で、確かにジャンセンとは、まだチームでの立場は違う。契約上の“縛り”がまだ弱いのか、本人の意思なのか、プエルトリコチームとマリナーズとの交渉の成果なのかどうかはわからないが、間違いなくプエルトリコのユニホームを着ることへの愛国心の高さが、彼の熱いピッチングを支えている。 日本にとってみれば、決勝に出てくる相手は、バンデンハークが投げてしまった後で、投手力がガタっと落ちるオランダのほうがくみしやすい相手であったことは確かなのだが……。こういう裏事情がチームの勝敗に影響を与えてしまうのも、WBCにまだまだ残っている課題なのかもしれない。