「偏差値71の進学校」から「即メジャーリーグ挑戦」へ…!令和の秀才球児・森井翔太郎はなぜ前人未踏の地を進むのか
卒業後、即渡米。令和の秀才球児に、従来の日本的価値観は通用しない。失敗なんて、考えてたまるか。道なき道を切り拓く、森井翔太郎17歳。決断への過程、メジャー挑戦前の心境を語りつくした。 【画像】シャラポワの変わらぬ「美ボディ」にファンが歓喜…「復帰する?」「綺麗!」 取材・文 加藤弘士 スポーツ報知編集委員/'74年、茨城県生まれ。'97年に報知新聞入社後、アマチュア野球、巨人、西武などの担当記者を経て、現在スポーツ報知編集委員。著書に『慶應高校野球部』(新潮新書)など
「指名しないでほしい」
「10・24」は全国の有望な高校野球選手にとって、特別な日だった。 プロ野球ドラフト会議。指名が予想される選手が所属する高校は会見場を設け、多くの報道陣が集結する中、運命の瞬間を待つ。一大イベントだ。 会議が始まる午後5時。森井翔太郎は、TVカメラの前にスタンバイする同世代の候補とは対照的に、都内の自宅で数学の教科書と対峙していた。偏差値71。屈指の進学校で、毎年東大や早慶に何人もの生徒を送り出す桐朋高校に通う森井。特別な日であっても、学業に手抜きは許されない。 「テスト期間中だったんです。勉強していたので、ドラフト会議の中継は見ていません。余裕がなかったので。それに指名されてしまうと、次の契約交渉に入れない。指名がなかったと確認した時には『ここからだな』って思いが強かったです」 森井が語る「次」とは、メジャーリーグだ。だからドラフト前、森井は米球界挑戦の意思が固い旨の文書を国内12球団へ送付し、「自分を指名しないでほしい」と理解を求めてきた。誰もが指名を待ちわびるドラフト会議の中で、前代未聞のことだった。高校通算45本塁打、投げては最速153キロを誇る「投打二刀流」。甲子園出場歴のない進学校に現れた好素材には、国内12球団が関心を寄せ、ドラフト1位候補とするチームもあった。 しかし森井は国内のプロではなく、直接のMLB挑戦……メジャー球団とマイナー契約を結ぶ道を選んだ。 過去にドラフト上位候補の高校生がNPB(日本野球機構)を経由せず、直接メジャー球団と契約した例は、ない。なぜ森井は、道なき道を選択したのか。