茨城でキャベツ盗難相次ぐ 相場高騰、警戒を呼び掛け
茨城県の県西地域で、大規模なキャベツの盗難被害が相次いでいる。相場高騰や猛暑による出回り不足が背景にあるとされ、県警や自治体、管内JAが警戒を強めている。 「あえて収穫をしなかったキャベツをほぼ全て盗まれた」。八千代町で18日、約1200個(60万円相当)を盗まれた70歳の男性は憤る。市場の高値を想定して、18日に収穫しようと残していた分が被害に遭った。 男性は「今作は出来が良く、2L級(1玉約2キロ)が約8割を占めていた」と悔しがる。切り口の状態から、収穫用の専用包丁が使われた可能性を指摘。作業に手慣れた犯人像を浮かべる。 古河市では約1200個(39万円相当)、結城市でも約840個(30万円相当)が盗まれる被害が12月中に発生した。県警は「野菜価格の高騰も要因にあるのではないか」とみて、防犯カメラの設置や自主的な防犯パトロールを呼びかける。 八千代町が管内のJA常総ひかりは、これまで果実を中心にしてきた注意喚起を野菜にも広げている。管内は日本一のハクサイ産地で、今が出荷のピーク。キャベツ盗難の続発を受け、地区営農経済センターごとに出荷者に注意を促す。 12月下旬(23日まで)のキャベツの日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は平年の約3・5倍。生育期の高温の影響で入荷が平年の2、3割少ないところにカット業者からの引き合いが加わって上昇している。 JAによると、今期の秋冬キャベツは定植時期の高温や渇水の影響から、根張りが弱く小玉傾向という。一方、ハクサイは例年通りの出来といい「産地が切り替わる2、3月は絶対量が少なく盗難の警戒が必要」とする。 県内では21日、下妻市の畑からキャベツ8玉を盗んだとして、中国籍の男2人が現行犯逮捕されており、県警が他の盗難事件との関連性を調べている。 (志水隆治)
日本農業新聞