特集ドラマ『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』放送へ 脚本は『あなブツ』櫻井剛
椰月美智子の同名小説を実写化した特集ドラマ『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』が、NHK総合で8月に放送されることが決定した。 【写真】櫻井剛脚本『あなたのブツが、ここに』 本作は、小学6年生と81歳との友情を描く、ハートウォーミングな物語。スケボー好きの少年・拓人は、神社の管理人をしている老人“田中さん”と出会う。少年は田中さんと交流を深めていく中で、田中さんの戦争体験を聞き、学校である提案をする。 脚本を担当するのは、NHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の櫻井剛。主人公・拓人を中須翔真、田中さんを岸部一徳が演じるほか、拓人の母を木村多江、拓人のクラスの担任の先生を森永悠希がそれぞれ演じる。 原作者の椰月は今回の実写化について、「喜びでいっぱいです。原作とは少し設定が異なりますが、小説で伝えたかったことはしっかりと汲み取って頂いております。田中さんと拓人の友情、そして戦争の傷跡。見終わったあと、やさしい気持ちになってもらえるといいなあと思います」とコメント。 脚本の櫻井は、「日々と人を想うこと。言葉にすると退屈だけど、何より大切な想いが詰まった作品です」と本作に込めた思いを明かした。 コメント ●中須翔真(小沢拓人役) 僕の演じる拓人は、友だちとスケボーで遊ぶのが好きで、勉強はちょっと苦手だけど、心の優しい“ええヤツ”です。拓人は世代の離れた田中さんと出会って少しずつ成長していきます。僕も、このドラマでそんな拓人と出会って、自分も素直なええヤツでありたいと思いました。このドラマを見てくださった皆様が、拓人の成長を感じて、そして、戦争について改めて考えるきっかけになるように、心を込めて拓人を演じたいと思います。 ●岸部一徳(田中喜市役) 「僕は戦争には反対です」私がドラマで演じた田中喜市の心の叫びの言葉です。 改めてその言葉の重さに気付かされました。戦争は過去だけのものではなく今も世界の何処かで続いています。このドラマに登場する三人の少年は未来への希望かもしれません、そして三人の存在は今の大人たちの良心にも思えました。この作品に出会えた事を感謝します。 ●木村多江(小沢尚美役) 原作も、このドラマの脚本も胸が温かくなって読むたびに泣いてしまうとても優しい物語です。 そんな温かい心を消し去るような、平和を破壊する悲しみがあってはならない。その思いを引き継いで、皆様と共有できたらと思っています。たくさんの方々に見ていただきたい作品です。 ●森永悠希(瀬下誠役) お話をいただいた時に、「きっと時代物で、戦時下のことを描くのだろうな」と思っていましたが、台本を読めば現代劇で、更に子供たちが中心の作品で…今までとは違う目線で戦争というものを扱った作品になると思いました。 子供たちのパワーに負けないように、少しでも力添えできたらいいなと思いながらお仕事できたらと思います。幅広い世代に見ていただけましたら幸いです。 ●椰月美智子(原作) 近所に小さな神社があります。境内に小屋があり、おじいさんが一人で住んでいましたが、いつのまにか姿を見なくなり、今では空き家になっています。おじいさんはどんな人だったんだろう、どんな生い立ちでここに住むようになったんだろう。そんな思いから田中さんが生まれました。 その田中さんが、まさかドラマに登場するなんて!喜びでいっぱいです。原作とは少し設定が異なりますが、小説で伝えたかったことはしっかりと汲み取って頂いております。 田中さんと拓人の友情、そして戦争の傷跡。見終わったあと、やさしい気持ちになってもらえるといいなあと思います。楽しみです! ●櫻井剛(脚本) 出来る事なら残酷で恐ろしい戦争については触れずにいたいと思いがちで、僕は考える事を先送りして、宿題にして引き出しの奥にずっとしまい込んでいる。でもこの原作には日々の何を大切にすれば戦争を回避する事が出来るのか、宿題のヒントが書かれてあった。それはとても当たり前過ぎて、気付くまでに時間が掛かってしまったけど、考えて向き合って、なんとか脚本に起こす事が出来たと思う。日々と人を想うこと。言葉にすると退屈だけど、何より大切な想いが詰まった作品です。 ●小山絵里奈(音楽) 私事ではありますが、地元大阪でスケボー少女期を過ごし、息子は登場人物の少年達と同年という事もあり、とても身近に感じた原作との出会いに感謝しています。 戦争は、過去のものでも、私達の日常と離れた場所にあるものでもなく、戦争とは、国を挙げ国民を巻き込み、後戻りできない世界へ人々を怒涛の如く流し込んでいく恐怖であることを。 戦争とは、多くの犠牲者を生む悲劇でしかないということを。 今、私達は伝えていかなければなりません。 戦争によって深く傷ついた魂が癒えること、決して過ちを繰り返さぬよう、この物語が音楽と共にみなさまのもとへ、届きますように。
リアルサウンド編集部