成田凌“冴木”の切なる叫びが胸に響く、吉川愛“花音”とのラストシーンも余韻を深める<降り積もれ孤独な死よ 最終回>
成田凌主演のドラマ「降り積もれ孤独な死よ」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系/Hulu・TVerにて配信) の最終回となる第10話が9月8日に放送された。7年より前からつながっていた真相が明らかに。冴木(成田)が語った深いメッセージと、ラストの描写が胸に迫った。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】成田凌&小日向文世の貴重なオフショット ■予測不能な結末へ誘うヒューマンサスペンス 同ドラマは、原作・井龍一、漫画・伊藤翔太による同名コミック(講談社)をベースに、オリジナル要素を付け加えて映像化。 13人の子どもたちの白骨死体が見つかった、通称・灰川邸事件から7年。一人の少女の失踪事件をきっかけに、灰川邸事件の現場に残されていた謎のマークが再び浮かび上がる。過去と現在、2つの事件の謎が降り積もる中で真相が紐解かれていく、スリリングなヒューマンサスペンスだ。 凄惨な事件を捜査する主人公の刑事・冴木仁を成田、子ども時代に灰川邸で暮らしていた蓮水花音を吉川愛、事件が起きた屋敷の持ち主で容疑者でもある灰川十三を小日向文世が演じる。ほか、冴木の先輩刑事・五味明日香を黒木メイサ、冴木の後輩刑事・鈴木潤を佐藤大樹(FANTASTICS from EXILE TRIBE)、花音と同じく灰川邸に住んでいて生き残った子どもであり、冴木の腹違いの弟である瀧本蒼佑を萩原利久、2024年の現代パートでの週刊誌記者・森燈子を山下美月。 ■灰川邸で暮らした子どもの一人だった健流の死の真相 最後の焦点だった13年前の真相。「偽物の家族はいらない」と灰川邸を出て行った健流(杢代和人)だが、“本物”の家族である実母・陽子(長谷川京子)の元にも居場所がなく、再び戻って来た。 ひっそりと別室に隠れるようにいた健流を見つけた花音は、「家族に戻りたいならお父さんとちゃんと話をして」と言う。すると、灰川には血のつながった本当の子どもがいて、自分たちは「代用品でしかない」と健流。花音の答えは、「ここまで守って育ててくれた。その事実だけで十分でしょう」だった。 「俺だけが誰からも愛されてない」と、やるせなさから花音に暴力をふるう健流。それを止めようとしたマヤ(仲万美)がハサミを背中に突き刺し、誤って倒れたことで命を落としてしまった。そこへ優磨(カカロニ・栗谷)とやって来た灰川は、「俺のせいで健流は死んだんだ」と言い、灰川邸のある森の中に遺体を埋めた。そして、“家族”を解散し、健流に見せかけて陽子に黄色いカーネーションを贈り続けた。すべては子どもたちを守るためだった。 ■冴木の切なる叫び マヤの転落死と優磨の事故は、健流が死んだと信じたくない陽子が迫ったことに起因していた。灰川邸に陽子を呼び出した花音は、自分の命で償おうとする。 そこに冴木が現われ、同時に逮捕されていた涼(笠松将)も警官の拳銃を奪ってやって来た。涼が放った銃弾に倒れる冴木。息も絶え絶えに伝えたのは「暴力の連鎖を止めるには、暴力で解決することでも、死ぬことでもないだろ。それにつながってきたのは、暴力だけじゃない。誰かが誰かを守りたいという思いも、ずっとつながってはずでしょう」ということだった。花音には在りし日の灰川が言った「いつかお前たちが誰かを守れ」という言葉が蘇っていた。 灰川はもちろん、花音を守る思いから過激な行動もいとわなかった涼、そして父親からの被虐待児であり自身の中にある暴力性に悩んだ冴木と亡き蒼佑も互いを守りたいという思いが芽生えたのは事実だ。続いた「守るためには生きないと」という冴木の言葉は、10話通してたどり着いた深い、深いメッセージだ。また、森が灰川邸事件に関する著書で最後につづった「子どもを守れるのは親だけじゃない」という言葉も。 ラスト、無事に生きていた冴木は、蒼佑の墓前で花音と再会。「これまでのことも、これからのことも、話す時間ならいくらでもある。生きている限り」と歩き出した。歩みを進める中で、冴木がそっと花音の手を握った場面は暴力性に悩んだ過去を知るからこそ感動的でもあった。SNSにも「手繋ぎエンド好きでした」「二人が手を取り合って追われてよかったな」「望んでたラスト」「キュンとした」といった声が寄せられ、幕を閉じた。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部