1分間最強こそケンカ最強ーー異色の格闘ドキュメント・ブレイキングダウン、仕掛け人が語る「幻想」の価値
「弱いもの同士」の試合を組むわけ
そんなブレイキングダウンだから「素人の喧嘩」と揶揄されるような試合にも意味がある。 「選手のレベルはピンからキリまででいいと思います。ペチペチと弱いパンチで殴り合う、笑ってしまうような闘いにも意味があるんです。見た人が“これなら俺だってできる”とか“コイツなら俺でも勝てるんじゃないか”と思いやすいんですよ。RIZINやUFC、井上尚弥選手の試合は憧れの世界。見ていて“とても自分にはできない”と思うからすごいんです。それに対してブレイキングダウンは憧れではなく共感の世界ですね。“俺でもできる”“俺でも勝てる”と思えるから見たくなる」 素人だからダメなのではなく、素人だから面白い。大会が今以上に大きくなっても「弱い者同士」の試合も組み続けたいという。 「選手の魅力って、勝った負けただけではないんですよね。負けても人気が出る人もいますから」 試合は勝つためにやるものだが、といって勝てば人気が出るわけでもない。何らかの自己プロデュースが必要で、それはブレイキングダウンもRIZINもボクシングも同じだ。
U-18にRIZINとの連携…?「幻想」の行く末とは
「これまでもこれからも、絶対に避けなければいけないのはマンネリ化」 そう断言するYUGO氏は、朝倉未来とともにブレイキングダウンの次なる展開も考えている。アメリカ、中国など海外への進出に加え、「U-18の試合もやりたいですね。ブレイキングダウンには元不良がたくさんいますけど“現役”が出てきたらどうなるのか」。 昨年のRIZIN大みそか大会では、ブレイキングダウンの選手が出場するという噂もあった。RIZINの榊原信行CEOは、ブレイキングダウンの運営サイドと話し合いがあったことを認めている。YUGO氏にも聞いてみると、「現段階で詳しいことは言えませんが、RIZINさんとはいろんなお話をしています。これから面白いことができるかもしれない」。 ブレイキングダウンで活躍した選手はRIZINでも強いのか。試合が実現すれば大きな話題になることは間違いない。 「1分ルールで強かった選手がRIZINに出たらどうなるか。みんな気になりますよね。それもまた“幻想”じゃないですか」 “幻想”は想像力をくすぐる。だから、批判も含めて見たら何か語りたくなる。そして語られれば語られるほど、ブレイキングダウンはその“幻想”をさらに大きなものにしていくのだ。