部下を無意識に追い詰める「ダメな管理職」の特徴は?見分け方が超シンプルだった!
● 優れたリーダーは 「タフさ」と「柔らかさ」を兼ね備えている 2023年4月のコラムで、新人を部下に持った上司が心がけるべきこととして、「自尊心」と「自負心」を養うための環境づくりが必要という話をしました(詳細は、『新人配属で試される「上司力」、部下の中で大事に育てたい“二つの心”とは』を参照)。 【この記事の画像を見る】 ビジネスパーソンにとっての自尊心とは、読んで字のごとく、自分はかけがいのない存在だと思う気持ち。自負心は自分ならできるという気持ちです。ビジネスパーソンには、その両方が必要です。 前述のコラムでは新人の話でしたが、リーダー自身も仕事のエネルギー源となる「自尊心」と「自負心」を持つことは大切です。それに加えて、リーダーには精神的なタフさという「剛」と、フレキシビリティさという「柔」も求められます。 厳しいビジネスの世界は、精神的タフさがなければ生きていくことができません。しかし、「剛」の部分だけでは周囲に厳しい対応をしてしまう。 例えば、自分の価値観と合わない部下に対して攻撃的な言動をして、パワハラ行為に走ってしまう。心に「柔」の部分が欠けているからです。 それでもリーダーの価値観が「正しい価値観」なら、まだ部下には救いがあるけれど、正しくない価値観、自己中心的な価値観を持つリーダーもいます。 そんなものを押しつけられる部下はたまったものではありません。
● リーダーの柔軟性は コンフォートゾーンの大きさで決まる! 私は、リーダーのフレキシビリティの低さは、コンフォートゾーン(心理的に快適な場所)の大きさが関係していると考えています。 フレキシビリティの低い人は、コンフォートゾーンも狭いから、そこから一歩でも外れる言動や行動をとる部下を受け入れられない。 一方で、フレキシビリティの高い人はコンフォートゾーンも広いから、部下が自分の考えとは異なる意見を述べたり行動したりしても、「そんなものか」と鷹揚(おうよう)に受け止められるということなのでしょう。 では、コンフォートゾーンを広げるためにはどうすればいいのか。リーダーにも部下にも当てはまることですが、一つはいろいろな経験することです。いろいろな経験をすることで、「そんなものか」と思うことができる。 わたしは若いころに、国連の選挙監視員としてカンボジアの総選挙に立ち会ったり、在宅介護の会社に勤めて寝たきりの方400名ほどの入浴を手伝ったりした経験があります。 このような経験をするとたいていのことには驚きません。サラリーマンの方だとこんな経験をすることは珍しいと思いますが、大変な経験やつらい経験も人生の幅やコンフォートゾーンを広げますし、自ら進んで多くの体験をすることでご自身のコンフォートゾーンが広がります。 もう一つは、無常観ともいうか、「変化」を受け入れる考え方を持つこと。 中国の古典「淮南子(えなんじ)」の有名な一節に、「行年五十にして四十九年の非を知り、六十にして六十化す」という名言があります。50歳になって49年間の「自分の間違い」を知り、60歳になっても変わるということです。 経験豊富な人ほど価値観が凝り固まりがちですが、人はいつでも変われるのだから、過去の経験・価値観をいったん捨てて、変わる勇気を持つことです。 ただし、何でも変わればいいというものではなく、「正しい芯」を持っていなければなりません。正しい芯を持つためには、何が正しいか正しくないかということを勉強しなければダメです。 何が正しいか正しくないかという勉強には、これまで何度もお話してきたように、何千年もの間、多くの人が正しいと言ってきたことを学ぶのが一番です。論語でもいいし、仏教でもいいし、キリスト教でいい。そして「正しい芯」さえぶらさなければ、譲れるところは譲って、自分が変わればいい。 ビジネスパーソンは、お客さまを大切にするとか働く仲間を大切にするという「正しい芯」、根幹の部分は変えてはいけないけれど、方法論や戦略、戦術の部分は部下たちとかんかんがくがくと戦わせればいい。それで部下の意見が正しいと思えばリーダーの方が譲る。それは恥でもなんでもありません。 会社経営も同じです。ミッションやビジョンの根幹の部分は変えられないし、変えるべきではない、むしろ、何があっても部下に守らせる必要がありますが、それを実現する方法論、戦略、戦術は変えてもいい。