20歳のウォーレン・バフェット、転機となった片道4時間の旅。そこにみる「3つの資質」とは?
今日はウォーレン・バフェットにまつわる、興味深いエピソードをご紹介しましょう。 それは73年前、当時まだ20歳だったバフェットがした旅行の話です。
学生時代のバフェットを魅了した1人の人物
1951年、バフェットはニューヨークのコロンビア・ビジネス・スクールの1年生で、教授の一人に傾倒していました。それはベンジャミン・グレアムです。 グレアムの著書『賢明なる投資家』は、バフェットがそれまで読んだ中でもっとも感銘を受けた本でした。 「ベンの授業で過ごした時間は、これまでで最高のものだった」とバフェットは1995年に書いています。 ある時、バフェットはグレアムが保険会社ガイコ(現在はヤモリのマスコットで有名ですが、当時は同社の顧客以外にはほとんど知られていませんでした)の会長であることを知り、ガイコについて徹底的に学ぼうと決意します。
片道4時間かけてバフェットが目指した場所
1951年1月の土曜日の朝、バフェットはニューヨークからワシントン行きの列車に乗り込み、文字通りガイコのドアをノックしに行きました。 最終的にバフェットは中に入ることを許され、当時新進気鋭の経営幹部だったロリマー・デビッドソン(のちにCEOに就任)と会話するチャンスを得ます。 デイビッドソンはバフェットにひどく感心し、4時間にわたってガイコと保険ビジネスについて質問に答えました。バフェットも「心を奪われた」とのちに書いています。 保険業界の仕組みや、ある会社がほかの会社よりも優れている要因について、半日でこれほど優れた講義を受けられた人間は、私以外いないでしょう。 それから何年もの年月が経ち、ガイコは今ではバフェットの会社バークシャー・ハサウェイの完全子会社です。バークシャーにとって保険事業は非常に重要なため、かつては保険と保険以外の2つのカテゴリーに事業が分かれてたほどです。
若きバフェットが備えていた資質
それから何年も経ってから、バフェットが採用の際の優先事項を尋ねられたとき、重視する具体的な資質を3つあげました。 そして、この「20歳でガイコを訪問した週末」の逸話は、バフェットがその3つのうち少なくとも2つを若いうちに持っていたことを示しているのです。 そのバフェットの名言がこちらです。 ある人がこう言っていました。「人を雇うときには3つの資質を重視するべきで、その3つとは、誠実さ、知性、エネルギーだ。しかし、1つ目の資質がなければ、残りの2つがあっても意味がない」と。 同級生のほとんどが土曜の朝、普通の学生らしく過ごしているなか、バフェットは片道4時間も電車に乗り、経営幹部と4時間も業界について会話しに行きました。その熱意と知性は、まさに最初の2つの資質がある証拠のように私には思えます。 バフェットも指摘しているように、誠実さは「勝ち得るのに20年かかるが、失うのは一瞬」です。 バフェットはこの点で優れていると思いますし、「成功への3つの資質」が理にかなっているということには同意していただけると思います。募集や採用を行なう際には、こうした点を心に留めておくといいでしょう。 Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2024 Mansueto Ventures LLC.
白井樹(OCiETe)