「草彅剛じゃなかったら時代劇を撮っていなかったかもしれない…」白石和彌監督が描く“誇りの美学”
白石監督がこう絶賛する草彅剛という俳優との出会いは、やはり大きかったということなのだろうか。 「もちろんです。もし草彅さんが時代劇をやりたいと思っていなかったら、僕はこの映画を撮っていなかったかもしれません。草彅さん以外考えられないぐらいだったと思います」 清原果耶、中川大志、市村正親、斎藤工、小泉今日子、國村隼など錚々たる顔ぶれが連なる本作だが、白石監督が草彅をはじめとした出演者に求めたものとはどんなものだろうか。 「このお話は、人のために命を差し出します、家族のために吉原にいきます、首を斬るのなら、私だけ斬ってくださいといった、人としての誇りを持って生きている部分、そういった感じを出してほしいなというのはありました」 どんなジャンルの作品でも、白石作品にはある一定の美学が貫かれている印象だ。 「生きづらい日常の中でどう生きていくのかというのは時代劇もそれ以外の世界も変わらないんだなと。とくに時代劇は封建社会、武家社会の中で生きていくということで突きつけられる問題が浮き彫りになりやすい。シンプルに見せることができる気がしました」 ちょっと変な質問を。碁盤は日本刀で本当に斬れるものなのか。 「どんな達人でもさすがに難しいかもしれません(笑)。ただ、碁盤の角を斬るような絵は残されていたりするんです。ですから、多少斬れたり食い込ませたりすることができた人もいたかもしれません。あるいは木目に合わせるなど条件が重なれば……」 夢はふくらむ。 さらなる次回作に早くも期待したくなるが、また白石時代劇第2作もみてみたい。そう言うと、 「いや、実はもう撮り始めてるんですよ」 !!! 「発表はしてませんが、時代劇です」 いたずらそうに笑った。 「その時はまた取材してください(笑)」 取材・文:太田サトル ライター・編集・インタビュアー。学生時代よりライター活動を開始、現在はウェブや雑誌などで主にエンタメ系記事やインタビューなどを執筆。
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