改正国会職権関連法 「一部条文は違憲」 憲法法廷判決/台湾
(台北中央社)今年6月に施行された改正国会職権関連法を巡り、頼清徳(らいせいとく)総統や行政院(内閣)などが違憲の恐れがあるとして違憲審査と法律の一時停止を求めていた裁判で、憲法法廷は25日、条文の一部は違憲だとする判決を言い渡した。違憲と判断された規定は失効する。 違憲審査と法律の一時停止を求めていたのは頼総統や行政院の他、与党・民進党立法院党団(議員団)、監察院。これを受け、7月19日以降、立法院(国会)職権行使法の総統による国情報告の聞き取り▽報告聞き取りと質問▽人事同意権行使▽調査権行使▽聴証会開催―に加え、刑法の「国会軽視(議会侮辱)罪」などに関連する規定の運用が停止された。 判決では国情報告について、総統は立法院に対して報告をする義務はないと判断。立法委員(国会議員)が報告の聞き取り後に総統に対して不明点を質問し、即座に回答を求めることも違憲だとした。また総統が報告をするか否かやいつ、どのように立法院に聞き取らせるかは、総統自身が職権に基づく判断で決定し、憲法下に設置された各機関の相互尊重の原則に基づき、立法院と協議して実施するものであり、立法院が一方的に決められるものではないとした。 立法院の人事同意権の行使については、立法院は人事案に賛成または反対するかの権力しか持たず、被指名者に特定の義務を課す権限はなく、義務違反があった場合にも行政罰で制裁を科す権限もないとした。 また議会侮辱行為と見なされるかが争点となった議員への反問権については、憲法に抵触しないと指摘。また国家安全保障の立場から、被質問者が資料の提出を拒むことに対して罰金を科すのは違憲だとした。 聴証会については、出席を求められた行政院(内閣)各部会(省庁)のトップには出席と適切な説明をする義務があるとする一方、正当な理由がある場合には回答や情報の公開を拒否できるとした。 調査権については、立法院が委員会内に調査専門チームを立ち上げることは違憲だと判断。調査権は権力分立とバランスの原則による制約を受けるべきだとした。 (林長順、劉世怡、謝幸恩/編集:齊藤啓介)