本田仁美は“ここにいる”と歌う 作詞曲「Be a Star」で綴ったSAY MY NAMEという新たな居場所
一つひとつの道が“今”に繋がる本田仁美の歩み
その後、IZ*ONE解散にともなって専任活動を終え、帰国後に再びAKB48に戻った本田は、2022年に59thシングル『元カレです』で初の表題曲センターに抜擢される。IZ*ONEでの経験値とおよそ10年に及ぶアイドル歴が、彼女にとって3つ目のグループ SAY MY NAMEとしてのデビューオファー並びにリーダーへの抜擢に結びつき、アイドル 本田仁美のキャリアを大きく前進させたことは間違いないだろう。また、本田は2020年リリースのIZ*ONEの楽曲「Merry-Go-Round」の作詞をはじめ、日本語版楽曲における歌詞を手がける際には韓国版の既存の歌詞を活かしながら、日本語だからこそ表現できる繊細なワードセンスが輝いていた。こうした経験がSAY MY NAMEでも活かされていることからも、彼女がこれまで辿ってきた一つひとつの道が今に繋がっていることを感じる。 ここで少し視点を変えると、AKB48やIZ*ONE所属時代の本田は、いわゆるグループの“妹”や“年下組”といった意識が強かったように思う。しかし、SAY MY NAMEでは最年長のリーダーとなり、新しく出会った“妹”6人とともに新たなステージへ羽ばたき始めた。本楽曲の歌詞にもある〈Finally we met by fate/돌아가는 길에 찾은 seven lines〉(やっと運命のように出会ったの/帰り道で見つけた7つの光)というフレーズは、SAY MY NAMEやメンバー達との出会いを表しているのだろう。AKB48卒業後、インタビューで「2024年は、“自分がなりたい自分になる”がモットー」と話し、「人生一度きり」「スリルを楽しみながらやりたいことを貪欲にやっていく!」と語っていた(※1)。蓋を開けてみれば、彼女の新たな居場所である“ここ”――SAY MY NAMEとしての3度目のデビューが、その答えのひとつだったのだろう。本田仁美の真の挑戦はまだ始まったばかりだ。 ※1:https://www.ellegirl.jp/fashion/column/a46450625/hitomi-honda-theater2401/
風間珠妃