敦賀以西調査に19億円 小浜ルート、先行き見通せず
●北陸新幹線延伸 国交省、来年度予算の概算要求 3整備新幹線、総事業費2658億円 国土交通省は27日、2025年度予算の概算要求を公表し、北陸新幹線敦賀以西延伸などの調査に19億円を計上した。今年度に続き、「小浜ルート」の工事認可に先立って前倒しで行う作業に充てられる。与党は25年度末までの着工を目指しているが、同ルートの建設費は当初想定から大幅に増加。工期も延びたことを受け、石川県内外で「米原ルート」への再考を求める声が強まっており、先行きは見通せないままだ。 ●3億円増額 調査費は今年度予算の16億円から3億円増額された。用地取得に向けた調査や、トンネル掘削に伴う残土処理の検討に活用する。整備新幹線の経済効果、環境影響評価(アセスメント)の手続きに必要な調査費なども含まれる。 概算要求では敦賀-新大阪の建設費について、金額を示さない「事項要求」とした。沿線自治体の負担などを含む財源や詳しい建設ルートが決まっていないためで、国交省の担当者は「与党の議論を踏まえ、年末の予算編成で検討する」と述べた。調査費とは別に整備新幹線の北陸、北海道、九州各区間の総事業費として2658億円、国費804億円を盛り込んだ。 敦賀以西の延伸を巡っては、国交省が今月7日、小浜ルートの詳細3案を与党整備委員会に提示。想定工期は最長約28年で当初の15年から延び、建設費は倍増して最大約3兆9千億円となり、今後の物価上昇で5兆3千億円に膨らむ試算を示した。 これに対し、整備委のメンバーである石川県選出の国会議員は、工期の大幅な延長で前提が変わったとし「容認できない」と反発した。県内では7月の北陸新幹線建設促進県民会議で現行の小浜ルートだけでなく、米原ルートも含めた再検討を国に求める決議が採択されている。