FRBが50ベーシスポイント利下げ後、ビットコイン6万ドル付近で取引
米連邦準備制度理事会(FRB)は現地時間9月18日、ベンチマークのフェデラルファンド金利を50ベーシスポイント引き下げて4.75%~5%とし、中央銀行による最も積極的な利上げサイクルを経てから4年ぶりの利下げとなった。 プレスリリースでは、「FRBは、インフレが2%に向けて持続的に動いているという確信を深めており、雇用とインフレの目標を達成するリスクはほぼ均衡していると判断している」と述べられている。「経済の見通しは不明瞭であり、FRBは二重の使命を前に、その両側に対してのリスクに注意を払っている。」 FRBの四半期経済予測によると、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で約50ベーシスポイントの追加利下げが行われ、年末までにベンチマーク金利が4.4%に低下すると予想されている。これは、6月に予測された1回の利下げから増えていることが分かる。 パウエル(Powell)議長は会合後の記者会見で、「米国経済は好調であり、本日の決定はそれを維持することを目的としている」と述べた。同議長は、失業率が「4%前半であれば、労働市場は良好」であり、「景気後退や、その可能性が高まっている」という証拠は見当たらないと述べた。同議長は、FRBはまだインフレに対する勝利宣言をしておらず、さらに50ベーシスポイントの追加利下げを「新たな利下げペース」と見なすべきではないと付け加え、FRBのデータに依拠するアプローチを繰り返した。 FOMCの決定から数分後、ビットコイン(BTC)の価格は1.2%上昇して6万1000ドル(約872万円、1ドル=143円換算)に達したが、その後6万ドル(約858万円)を下回り、過去24時間でほぼ横ばいとなった。米株はFRBの決定を受けて序盤の上昇分をすべて帳消しにし、ハイテク株中心のナスダック100とS&P500は0.3%下落して取引を終えた。金は急騰して史上最高値の2600ドル(約37万円)を超えたが、その後反落して下落で取引を終えた。 一方、米ドル指数(DXY)は2023年7月以来の最低水準となる100.3まで下落し、その後101まで急上昇した。CoinDeskのアナリスト、ジェームズ・ヴァン・ストラテン(James Van Straten)氏によると、これはリスク資産価格を測る上で注目すべき重要な指標だという。 暗号資産(仮想通貨)関連株も上昇分を失った。マイクロストラテジー(MicroStrategy)の株価は1日で1.5%上昇したが、暗号資産取引所コインベース(Coinbase)と投資会社ギャラクシー(Galaxy)は、マラソンデジタル(Marathon Digital)やライオットプラットフォーム(Riot Platform)を含むほとんどのビットコインマイナーと同様に、横ばいからマイナスとなった。 「FRBは、50ベーシスポイントの大幅な利下げで市場が求めていたものを提供した」と、LMAXグループの市場ストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は述べた。「今後の懸念は、緩和がここまで織り込まれた今、FRBの今後の緩和姿勢に対して市場が引き続きリスク資産の購入に安心感を抱くことができるかどうかだ。」 ファルコンX(FalconX)のリサーチ責任者、デビッド・ラワント(David Lawant)氏は、暗号資産とより広範なリスク資産との相関関係が約18か月ぶりの高水準に急上昇したとメールで指摘した。 「これは、特に現在のような転換のタイミングでは、マクロがますます重要な要素になっていることを浮き彫りにしている」と同氏は述べる。 ジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が先月のジャクソンホールシンポジウムで、インフレの冷え込みと失業率の上昇により「政策を調整する時期が来た」と述べたため、市場は9月から金融政策の緩和を一様に予想していた。しかし、トレーダーの間では、FRBが25ベーシスポイントの利下げを行うのか、それとも50ベーシスポイントの大幅な利下げを選択するのかで意見が分かれていた。現地時間9月18日の決定前に、市場は利下げの可能性を40%、大幅な利下げの可能性を60%と織り込んでいたことが、CME FedWatchツールでは示された。 この不確実性が不安定なセッションの土台を築くこととなった。暗号資産マーケットメーカーのウィンターミュート(Wintermute)は、今回の決定を受けてビットコインの価格がどちらの方向に対しても2%~3%変動すると予測した。 メイルストローム(Maelstrom)の最高投資責任者でビットメックス(BitMEX)の共同創業者であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は、CoinDeskとのインタビューで次のように述べた。FRBの利下げにより米ドルと日本円の借入金利差が縮小し、市場が暴落する可能性があると予測している。これにより、投資家は円建てのキャリートレードを一斉に解消することになる。注目すべきは、同じ動きが8月5日の株式とデジタル資産の暴落を引き起こし、ビットコインが一時的に5万ドル(約715万円)を下回ったことだ。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Helene Braun/CoinDesk|原文:Fed Cuts Interest Rates by 50 Basis Points, Bitcoin Briefly Hits $61K Before Selloff
CoinDesk Japan 編集部