エミー賞で“LGBTQセレブ”との写真だけ投稿した日本人俳優の魅力。他にもセレブが大勢いる中で
ファッショニスタとのツーショット
エミー賞授賞式のレッドカーペットに登場した浅野は、クラシカルな黒のタキシードに身を包んでいた。そのときの一枚をX上にポストしている。パッと見て、浅野忠信ルックのまとまりがカッコいいなと思う。 ポストには「#tomford」とハッシュタグが付いている。トム・フォードが完璧にフィットする身体は、この世にデザイナーであるトム・フォードと浅野忠信しか存在しないくらい、つややかな佇まい。ファッションの領域でも唯一無二なのだ。 レッドカーペットは、スターたちが着こなすエレガンスの見本市みたいな場所でもある。もう一枚、浅野は、華やかな場に相応しくファビュラスなファッショニスタとのツーショットをポストしている。
SNS投稿すら唯一無二な人
ジャケットを脱いだ浅野の肩に優しく手を添える人物。白と黒を鮮やかに着こなし、ディアドロップ型のメガネと白髪の組み合わせが都会的な洗練を極めるその人は、タン・フランス。ファッション担当で出演するNetflix配信作品『クィア・アイ』(2018年~)で、馴染みある人も多いかもしれない。 他にも2枚のツーショット。同作の美容担当のジョナサン・ヴァン・ネスに、インテリアデザイン担当のボビー・バーク。他に料理担当のアントニ・ポロウスキとカルチャー担当のカモラ・ブラウンを合わせていわゆる「ファブ5」のメンバー3人との記念撮影だった。 他にも世界的セレブリティは会場にたくさんいるというのに、魅力的なワールドワイドのクィアたちとのツーショットだけを並べてポストする浅野忠信。SNS投稿すら唯一無二な人である。
ジェンダーレスでファッショナブルな文化圏
こうした浅野のポストを見て意外に思った人もいるかもしれないが、ジェンダーレスでファッショナブルな文化圏の中で考える浅野忠信の面白さが、実は他にもある。 『GQ JAPAN』で連載された特集『男らしさって』って何? 浅野登場回(2020年3月20日掲載)。2018年から2021年までイタリアのファッションブランド「ボッテガ・ヴェネタ」のクリエイティブ・ディレクターを務めたダニエル・リーによるジェンダーレスな衣装を浅野が着た。スタイリスト・北村道子によるスタイリング。大胆に胸毛を露出することで、同特集が問う「男らしさ」とのたわむれを感じさせる。 インタビューで浅野は「本音を言うと、スカートがうらやましいんです」と答えている。自分が知らない世界に足を踏み込み、どっぷり浸かってみる。そこから自由に興味の幅が広がる。「男らしさ」の枠から考えられがちな浅野が、ジェンダーレスな文化圏から唯一無二のイメージを新たに浮かび上がらせる。とても刺激的だ。