軽金属鋳造大手のJMCとSTG、生産相互委託などで提携。試作から量産まで一貫対応強化
軽金属鋳造品大手メーカーのJMCとSTGは、11日に生産相互委託などに関して業務提携を結んだと発表した。マグネシウムやアルミニウムのなどの鋳造品について、JMCは試作品向けなどに強い。一方、STGは量産品向けの製造が中心となっている。生産相互委託により両社ともに顧客の試作から量産までのプロセスに、一気通貫で対応する体制を強化。より効率的な開発・製造に寄与する仕組みを整え、提案力を向上させる。中期的な提携効果は売上高で両社合計して年間数十億円規模を見込むほか、収益強化にもつなげる。 STGの佐藤輝明社長は今回の業務提携について「顧客と提携両社の三方良しとなる」と説明する。 JMCの砂型鋳造製法は設計変更に対応しやすいほか少量を機動的に供給できる。その特徴を生かし試作品向け鋳造品を供給する顧客が、量産段階に移行する際にSTGに生産を委託する。JMCの渡邊大知社長は「STGは技術力に優れ実績も豊富」と話す。 STGのダイカスト製法は高い生産性が特長で量産品向けに強い。量産品向け鋳造品を提供する顧客が、次期モデル製品などの研究開発に使う試作用の製造をJMCに委託する。STGの佐藤社長は「JMCは難しい仕事をしっかり遂行されており、納品実績に対しても安心感がある。コミュニケーションもとりやすい」としている。 STGが量産用鋳造品を手掛けることを念頭に、JMCがコミュニケーションを密にしながらそこに最適な試作用鋳造品を製作することで、量産用の生産立ち上げがよりスムーズになる。そのため顧客の新製品投入サイクルを短縮でき、競争力強化に貢献できる。また量産用の立ち上げ時の歩留まり改善などにより、コスト面でのメリットも創出可能となる。 まずは形状が複雑でで精度要求も厳しいカメラの外装品向け鋳造品などの製品で今回の提携効果を見込む。将来的には大型品が求められる自動車関連の分野でもシナジーを創出。また生産の相互委託に加え人的交流も積極的に進める考えだ。 今回の業務提携を機にリソースを相互活用することを通じ、従来では難しかった領域や部品についても積極的に提案する方針。さらにSTGでは顧客とのコミュニケーションを高度化するため、数千万円を投じてCADシステムを増強する。 加えて今後は提携をさらに拡大させる可能性もあり、資本提携なども視野に入れている。今回の提携は顧客の新製品投入サイクルの短縮に加え、軽量化・高強度化に寄与するマグネシウム鋳造品の普及拡大にもつながると見込む。