アップル「iPhone」、中国市場で値下げしテコ入れ 実売価格が2割引で、4月の販売台数18%増加
中国のスマートフォン市場で、アップルのiPhoneの販売が回復を見せている。市場調査会社IDCのデータによれば、中国市場における4月の販売台数(メーカー出荷ベース)は320万台弱と前年同月比18%増加した。 【写真】中国市場でiPhone と競合するファーウェイのハイエンドスマホ「Pura 70 Ultra」(同社ウェブサイトより) 2024年1月から3月までの累計では、中国市場でのiPhoneの販売台数は1080万台と前年同期比6.6%減少していた。それが4月になって持ち直した背景について、IDC中国のシニアアナリストを務める郭天翔氏は、財新記者の取材に対して次のようにコメントした。
「アップルの値下げとセールスプロモーションが効いた。加えて、2023年4月はiPhoneの販売が低迷していたため、前年同月比では見かけ上の増加率が大きくなった」 ■「過去最速かつ最大の値下げ」 ネット通販大手の京東(JDドットコム)のスマホ販売ランキングでは、5月下旬の時点で「iPhone 15 Pro Max」が第1位、「iPhone 15 Pro」が第2位となっている。それらの実売価格は前者が7949元(約17万2113円)から、後者が6099元(約13万2057円)からと、メーカー希望価格より約2割も安い。
郭氏によれば、iPhone15シリーズはアップルが過去最速で(実売ベースの)価格を引き下げ、しかもその幅が最大の事例だという。 「アップルはこれまで、iPhoneシリーズの値下げを基本的にしていなかった。毎年秋の新製品発表が近づいてから、旧世代のモデルを値下げする程度だった」(郭氏) 「アップルが(異例の)値下げに踏み切ったのは、消費者の購買意欲を刺激して市場シェアを奪回するためだ」 そう解説するのは、市場調査会社カウンターポイントのシニアアナリストを務めるアイバン・ラム氏だ。
中国の個人消費はこのところ回復傾向にあるものの、消費者は高額の出費に慎重になっている。そのためアップルは、(ハイエンド商品であるiPhone の)適度な販促を通じて潜在需要を引き出す必要に迫られた。 アップルにとって予想外の誤算は、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)がスマホ市場に劇的なカムバックを果たしたことだ。ファーウェイは2023年8月、自社設計の5G(第5世代移動通信)半導体を搭載したハイエンドスマホ「Mate 60シリーズ」を発売。中国のスマホユーザーの間で爆発的な人気を博した。