舞台美術家・朝倉摂の半生描く、瀬戸口郁×西川信廣による文学座公演「摂」
「文学座公演『摂』」が、10月28日から11月6日まで東京・紀伊國屋ホール、9・10日に兵庫・兵庫県立尼崎青少年創造劇場 ピッコロシアター 大ホールで上演される。 【画像】文学座「摂」東京公演チラシ裏(他1件) 本作は、生涯1600本以上の舞台を手がけた舞台美術家・朝倉摂の、日本画家時代に光を当てる作品。これまで多くの評伝劇を生み出してきた瀬戸口郁と西川信廣の作・演出コンビが、取材をもとに“真実の物語”を立ち上げる。 1922年、摂は彫刻家・朝倉文夫の長女として生まれた。若くして日本画家として頭角を現す摂だが、1941年に太平洋戦争が勃発すると、摂の青春は戦時色に覆われる。戦争への憎悪や、権威的な日本画壇への抵抗心を募らせた摂は、戦後、家を出ると自画像を描き、自らの“闘争”を決意した。 朝倉摂役を荘田由紀、朝倉文夫役を原康義、朝倉摂の叔母役を新橋耐子が演じるほか、朝倉摂の実の娘である富沢亜古が朝倉摂の母親役で出演。なお、東京公演は築地小劇場開場100周年を銘打つ紀伊國屋書店提携公演として、兵庫公演はピッコロシアター鑑賞劇場として行われる。 チケット販売は、兵庫公演分が9月12日、東京公演分が27日にスタート。上演に向け、瀬戸口のコメントは以下の通り。 ■ 瀬戸口郁コメント 今回の「摂」ですが──朝倉摂さんは舞台美術家として生涯に手掛けた作品が国内外で1600本超。演劇界に大きな足跡を残された芸術家です。私も生前はたいへんお世話になりました。しかし朝倉さんがロックフェラー財団の招聘で舞台美術を学びに渡米したのは48歳の時でした。それまでの前半生は上村松園賞を受賞するなど、日本画家として活躍した人だったのです。しかし「過去を振り返るのが大嫌い」だった朝倉さんは演劇の世界に突き進んで以来、絵画の世界とはきっぱりと離れます。自らの日本画家時代の作品を徹底的に封印したのです。この封印された日本画が朝倉さんの死後、遺品の整理をしていた家族によって物置の奥から発見されました。朝倉さんのかつての日本画の発掘! 美術界に激震が走りました。そして2022年、発掘された日本画を中心とする「生誕百年 朝倉摂展」という展覧会が実現します。私は初日に出かけたのですが、朝倉さんの日本画と向き合って大きな衝撃を受けました。そこには私のまったく知らない朝倉摂さんが躍動していたのです。私はあの頃の朝倉さんに会いに行きたくてたまらなくなりました。日本画家時代の朝倉摂を書いて文学座で上演する! 私は即座に決心し、西川信廣さんに連絡し、演出を依頼しました。 そこから丸2年、取材と資料との格闘に明け暮れ、なんとか戯曲を書き上げました。摂役に荘田由紀、父・文夫役に原康義、叔母役に新橋耐子、そして朝倉摂さんの日本画……この世紀のお宝の第一発見者であり、実の娘の富沢亜古が朝倉さんの母親役で出演します。キャスト・スタッフ、この秋、文学座が総力を結集して作る舞台「摂」にどうぞご期待ください! ■ 文学座公演「摂」 2024年10月28日(月)~2024年11月6日(水) 東京都 紀伊國屋ホール 2024年11月9日(土)~2024年11月10日(日) 兵庫県 兵庫県立尼崎青少年創造劇場 ピッコロシアター 大ホール □ スタッフ 作:瀬戸口郁 演出:西川信廣 □ 出演 新橋耐子 / 原康義 / 富沢亜古 / 鈴木弘秋 / 神野崇 / 川辺邦弘 / 細貝光司 / 荘田由紀 / 越塚学 / 日景温子 / 音道あいり / 杉宮匡紀 / キクチカンキ / 野村今日子 ※東京公演:U-30、高校生以下、留学生割引あり。 ※兵庫公演:25歳以下割あり。 ※初出時より見出しを変更しました。