エネルギー小国日本の選択(1) ── 「エネルギー基本計画」見直しへ
日本のエネルギー自給率は6%にすぎません。2011年の東日本大震災は、原子力をはじめ、日本のエネルギーのあり方について、根本から見直しを迫りました。震災以降、発電のためのエネルギー源のほとんどを化石燃料に依存することになり、それはCO2の排出量が増えていることを意味します。日本がとりうる選択肢とは? 連載を通じて私たちの生活・産業と切っても切り離せないエネルギー問題について考えます。
「エネルギー基本計画」見直しへ
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からまもなく6年半が経つ。原子力や石油、天然ガス、太陽光といった日本のエネルギー構成の将来の姿を示す「エネルギー基本計画」も見直しの時期を迎え、関心を呼んでいる。世耕弘成経済産業大臣は8月1日の記者会見で「2014年に基本計画を策定してから3年。基本的に骨格は変えない」と述べた。9日から見直しの議論が始まり、2017年度内をめどに結論をまとめる。 中でも原発の扱いをめぐっては引き続き注目度が高い。現行の計画では、2030年度の電源全体に占める原子力の割合は20~22%程度とされている。原発の新増設を盛り込む可能性も取りざたされている。
著しい状況変化
国外に目を転じれば、ドイツやベルギーが脱原発を掲げ、韓国は建設中の新古里原発5、6号機の工事中止を7月に決めるなど、情勢は刻々、めまぐるしく変化する。一方で中国とロシアは建設を増やし、人口増加を背景にインドも長期的な建設計画がある。 著しい状況変化は原子力に限ったことではない。長らく日本のエネルギーの根幹を支えてきた石油は世界の需給バランスの変移や開発技術の発達に伴い、転換期を迎えている。産油国、インドネシアは2000年代前半にガソリンなどを含む石油の貿易量で輸入が輸出を上回る純輸入国に転じた。 新技術により北米で生産が盛んな「シェールオイル」も原油の需給、国際価格に大きな影響を与えている。サウジアラビアなどが主導するOPEC(石油輸出国機構)と、ロシアなど非加盟の産油国の利害も絡み、関係は複雑さを増している。