ドルにとって危険な12月、トランプ氏投稿や金利決定で乱高下も
(ブルームバーグ): ドル強気派は、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利によって勢い付いているが、12月は歴史的にドルにとって不利な月だ。
11月5日の選挙以来、ドルは約2%上昇しているが、季節的にここから先は不利な状況となる可能性が高い。過去10年のうち8回、ドルは12月に下落している。その多くはポートフォリオのリバランスフローや、いわゆる「サンタラリー」のようなリスク志向でドルを売る動きが要因だった。
今年は、例年よりも大幅かつ急激な変動が起こる可能性が高い。トランプ次期米大統領のソーシャルメディアへの投稿が市場とトレーダーを動揺させるリスクがあるほか、主要9中央銀行の政策決定や大量の重要経済データ発表が予定されているためだ。ネガティブなサプライズの匂いが漂うだけで、究極の避難通貨への殺到が起こり「ドル売り」というシナリオがなくなる可能性もある。
「しっかりつかまっていた方がいい」と言うみずほ銀行の経済・戦略責任者、ビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は、12月は「通常はリスク志向でドルを売るという動きになるが、トランプ氏が政権を握るとなると、どうなるか分からない」と話した。
ニューヨークから東京まで世界の投資家が今後4年間の外国為替市場のトレンドを予測しようとする中で、米大統領選挙以降、為替のボラティリティーは急上昇している。議論の中心はトランプ大統領の下でのドルの行方だ。米国でインフレが加速し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しが複雑になることが予想される。
最近の市場の動きは、ドル取引の難しさを浮き彫りにした。ブルームバーグのドル指数は9月まで3カ月連続で下落した後、上昇に転じた。JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループは、トランプ氏が計画する関税が米国の物価上昇を招くととともに、他の国・地域経済に打撃を与えることで、ドルが今後も強くなると予想している。