最新のアパート価格推移…「購入/売却」するのに最適なタイミングは?【FPが解説】
マンション価格が高騰していますが、同じ不動産投資の対象である、「一棟アパート」の価格はどのように推移しているのでしょうか? 本記事では、一棟アパートの価格推移から、購入/売却をするのにそれぞれの適切なタイミングについて不動産市況に精通する長岡FP事務所代表の長岡理知氏が考察します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
高騰する不動産市場
国土交通省が公表している「不動産価格指数(住宅)(令和5年11月分・季節調整値)」によると、新築マンション価格(区分所有)は2010年を100とすると2023年11月には193.4と、約1.9倍に高騰しました。これは東京都だけの話ではなく、北海道では299.3、九州・沖縄では243.9と地方はより著しい上昇を続けています。 この背景には、円安と日本の低金利によって不動産市場に海外投資家が参入しているという事情があります。また、建設資材の高騰と人手不足がこの数年続いていること、低金利政策が継続中であることも影響しています。 価格が高騰しているのは新築マンションだけではありません。「一棟アパート」も同様です。
一棟アパートの価格は急上昇を続けている
複数の不動産情報サイトによると、一棟アパート価格の平均価格は2024年1月で7,900万円程度となっています。2012年は5,000万円台半ばだったので、この10年で価格が高騰したのは区分マンション価格と同じ状況です。一棟アパート価格は「過去最高額」をいまも更新し続けているのです。 当然のことながら価格が上昇するにしたがい、表面利回りは低下します。2012年には10%程度だった利回りは、現在では8%前後と落ち込んでいます。一棟アパートの価格の今後はどのように考えていくべきでしょうか。 それには3つのポイントを押さえておく必要があります。
一棟アパートの価格を考える「3つのポイント」
1.2024年問題による人件費の高騰 2019年に「働き方関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が施行され、時間外労働の上限規制が始まりました。 これまで建設業は対象外とされていましたが2024年4月からは、建設業に従事する労働者にも時間外労働の上限規制が適用になります。これによって人手不足に陥る業者が増えるとされています。 そのため人件費は高騰し、工期も長くなる可能性があります。これらが物件価格の上昇に直結するのは想像に難くありません。 2.マイナス金利政策の解除 2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策の解除を発表しました。これにより長年続いてきた日本の低金利が終わり、上昇に転じるのではないかと思いがちですが、「緩和的な環境が継続される」と日本銀行は強調しています。 大手銀行が短期プライムレートを見直さない方針を打ち出すなど、ローン金利がいますぐに上昇することはなさそうです。低金利を背景にレバレッジを利かせる不動産投資家には有利な環境が続くことになります。 3.円安による海外投資家の参入 日本国内の不動産に投資する外国人がこの10年で急増しています。有名なところでは北海道のニセコがあります。 特にこの数年は著しい円安であるため、物件購入がしやすい環境にあります。日本以外に在住する外国人は日本国内の金融機関でローンを組むことが難しいため、多くは現金購入です。本来は大型の物件への投資にも興味があるところですが、現金購入となると小中規模の物件への投資がメインになります。 そこで選ばれるのが区分マンション、そして一棟アパートなのです。 円安での購入は高い利回りに繋がるため、キャピタルゲイン(売買差益)を目的にするよりも、キャッシュフローを得るほうがメインの目的になります。 依然として円安と低金利が継続しているため、今後も当面は一棟アパート価格の高騰は続くと想像できます。