【マイルCS展望】初距離ブレイディヴェーグ&外国馬チャリン参戦で大混戦 創設41年目で初の事態も…
[GⅠマイルチャンピオンシップ=2024年11月17日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外1600メートル] ニホンピロウイナー、オグリキャップ、タイキシャトル、ダイワメジャーと歴史的な名馬が歴代勝ち馬に名を連ねるマイルCS。それらの中には、スプリンタータイプや中距離型もいたが、「最優秀短距離馬」が「最優秀スプリンター」と「最優秀マイラー」に分割されたJRA賞に象徴されるように、昨今は〝分業制〟が進んでいる。幅広い距離実績を持つ馬はレアな存在になり、看板通り〝マイル王決定戦〟として今年もトップマイラーが集結した。登録のあったシックスペンスの回避により、創設41年目にして初めて3歳馬不在となる一戦。覇権の行方はどうなるのか? 昨年の覇者ナミュール(牝5・高野)、一昨年の覇者セリフォス(牡5・中内田)が今年もスタンバイしている。ナミュールは昨年、富士S→マイルCSと連勝で頂点に立ったが、今年は安田記念2着からの直行を選択。2020→21年のグランアレグリア以来、史上7頭目の連覇を狙う。一方のセリフォスは、秋初戦の富士Sで4着発進。今回コンビを組む鞍上・川田にとっても昨年は2番人気8着に敗れており、巻き返しに期するものがあろう。ここを勝てばマイル重賞5勝目となり、グランアレグリア(6勝)やウオッカ(5勝)などに続く史上5頭目のJRA芝マイル重賞5勝以上馬となる。 これらと接戦を続けてきたソウルラッシュ(牡6・池江)は、GⅠ初制覇に力が入るところだ。昨年のマイルCSがタイム差なしの2着で、今年の安田記念では0秒1差3着。GⅠタイトルまで文字通りあと一歩のところまで来ている。昨秋以降はますます安定感を増してきた印象。GⅠとGⅡで計3戦して3、2、1着の実績がある京都マイルで、悲願達成を目指す。
ブレイディヴェーグ&チャリンも参戦
純粋なマイラーが数多くそろった中にあって、少し異質なのは昨年のエリザベス女王杯勝ち馬ブレイディヴェーグ(牝4・宮田)。なかなか態勢が整わず、前走の府中牝馬Sが今年の初戦となったが、3ハロン32秒8という決め手を駆使しての完勝劇はインパクト大だった。初めてのマイル参戦でも、勢力図を一気に塗り変えるだけの可能性を秘めた存在だ。ちなみに、芝マイル勝ちのない馬によるマイルCS制覇は、96年ジェニュイン、00年アグネスデジタル、08年ブルーメンブラット、13年トーセンラーが記録している。 また、当レースでは13年ぶりの参戦となる外国馬チャリン(牡4・Rヴェリアン=英国)も注目の一頭。今年に入ってからの充実ぶりは著しく、GⅠ3勝2着2回と抜群の成績を残している。父ダークエンジェルの産駒マッドクールが日本でGⅠ制覇(24年高松宮記念)しているのも強調材料。実績面では最上位ともいえるだけに、名手ムーアとのコンビでレース史上初の外国馬Vを果たすかもしれない。 他にも、富士Sでセリフォス&ソウルラッシュといった実力馬を破ったジュンブロッサム(牡5・友道)、1600~1800メートルで安定した走りを見せるエルトンバローズ(牡4・杉山晴)、ヴィクトリアマイル2着馬フィアスプライド(牝6・国枝)など実力馬がズラリ。秋のマイル王争いは激戦必至だ。
東スポ競馬編集部